大人の遠足
この夏、厚木高校の同級生たちと群馬の草津に行ってきました。目的地は昭和初期から続くハンセン病の国立療養所「栗生楽泉園」内に建てられた、国立重監房資料館。
ここはハンセン病患者が受けた理不尽な差別、人権蹂躙の歴史を検証し、後世に伝える役目を果たす施設で、我々の同級生・黒尾和久君が館長をしています。温泉地で楽しい同窓会、とは少し違う、館長直々のガイドで人間の尊厳を考える、大人の社会見学なのでした。
そもそも患者さんたちは家族や故郷から強制的に隔離され、しかもその病が「穢れ」とみなされたために、多くの人が名前まで変えて絶縁、生涯帰郷が叶わなかったわけですが、なかでも重監房は名称こそ特別病室でありながら正体は、反抗的な患者を裁判もなく監禁する牢屋でありました。
房内での死者もありました。その後、破壊され実態がよく分かっていなかったのを、黒尾君たちが生き残った患者さんたちとともに、悲しみと怒りの記憶と記録を残そうと強い意志を以て、発掘調査、真実を追求したのです。
歴史学者となり考古学の発掘をしていたはずの黒尾君が、現在そんな方面に進んでいたことを知ったのはごく最近です。たまたま点けたテレビで、ハンセン病の悲劇を語る彼の姿を見かけて、びっくりして連絡をとり、今回のツアーの実現に繋がりました。
同級生の仕事ながら、こいつ良い仕事してるなあ、としみじみ思う夏でした。