厚木・愛川・清川 人物風土記
公開日:2025.03.21
本厚木駅南口のギャラリー悠で、3月27日から4月1日まで油彩画展を開く
森裏 秀行さん
愛川町半原在住 72歳
日常を慈しみ美に触れる
○…愛川町にひっそりと暮らす画家が、厚木で初の油彩画展を開く。これまで町の文化会館で個展を開いてきたが、「より多くの人に」と厚木にあるギャラリー悠での開催を決めた。発表の場や油絵画家が減少する中、「小さなギャラリーは貴重だから、自分の作品で少しでも油絵の魅力が伝われば」と創作活動を続ける。
○…兵庫県に生まれ、絵筆を握ったのは中学3年生の時。画材店が主催した写生大会で初めて油絵の具を手にした。その魅力に引き込まれ、デザイン科のある高校に進学、絵描きを目指し上京するも挫折した。職業を転々とする中で絵から遠ざかった時期もあったが、「絵を描くことは心の拠り所」と公募展に作品を出し続けた。30代で結婚し、40歳手前で妻の出身地である愛川町へ移住した。
○…創作の源泉は日々の生活の中にある。以前は山に登り風景を描いていたが、最近は近所を散歩しながら心引かれる風景を探す。モチーフは夕暮れや月夜の風景、道端に咲く花など、どこにでもありそうなものばかり。「特別な場所へ行くのではなく、日常の中で見つけていきたい」。写実的な表現でありながら詩情を漂わせる作品を通して、日常の中で見過ごしてしまいそうな身近にある美を伝える。
○…絵画制作の傍ら、読書や音楽鑑賞も嗜む。愛読書は詩集や哲学書、音楽はクラシックを好み、「読書から絵のインスピレーションを得ることも多い」。お気に入りのエリック・サティなどの楽曲を自作スピーカーで聴くなど文化・芸術の趣味には事欠かない。油彩画展に向け「絵を描くことはその場にしかない空気感や風、気温など、さまざまな感覚を捉えること。その感覚を皆さんと共有できれば」
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