厚木・愛川・清川 人物風土記
公開日:2025.07.04
古文書を現代語に直した書籍『百姓物語』を市に寄贈した
小池 正春さん
厚木市毛利台在住 79歳
「言葉には魅力がいっぱい」
○…「言葉ってとてもおもしろい。時代によって意味が全く反対だったり。調べるほどに驚きがあって、それが一番の魅力かな」と屈託のない笑顔をみせる。ある日目にした一冊の古文書、ずらずら並ぶ漢字の羅列。「これが読めたらいいのにな」と当時寿町にあった郷土資料館で開催されていた「厚木市古文書解読会」に飛び込んだ。
○…2019年「あつぎ郷土博物館」の移転に伴い活動拠点をアミューあつぎに変更し、有志のメンバーで新たに「フィロソフィアの会」を立ち上げ会長に就任した。「『フィロソフィア』は、ギリシャ語で『知恵を愛すること』を意味します。そこから知ることの喜びを会員皆で共有したいと名付けました」とうなずくようにその深い意味を説明する。
○…江戸時代、農民の行動を律した法律の一つ「五人組御仕置帳」。厚木市生まれで農民文学の小説家、和田傳の先祖が残したこの古文書の現代語訳を始めたのが6年前。学者が記した本を読んで調べたり、パソコンで検索したり。会の仲間と一緒に手を尽くして丹念に解読を進め『百姓物語』の完成にこぎつけた。困難を極めた作業だったが「またそれが面白い」と笑う。会の皆にはそれぞれの人生があり、経験豊富。記されている一つの言葉にもいろいろな解釈が生まれ、自身が気付かなかった新たな発見も。「楽しむことが長寿の秘訣」と身を乗り出す。
○…この本は市内の中学校や各公民館図書館などに置かれる。「この本を機に、若い世代が郷土に目を向け『厚木愛』を感じるきっかけになって欲しい」と強い思いを訴える。各地の歴史を訪ね歩く一人旅が趣味。「目下の目標は、青森県の三内丸山遺跡への旅」と、言葉に力を込めた。
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