「修学旅行先変更」求む声 市民団体が常任委員会に提出も不採択
「小学校の修学旅行先を変えてほしい」―。市民団体から先月29日、市議会教育福祉常任委員会に請願が出された。これは、市立小学校の修学旅行先となっている栃木県の日光が、横須賀市内よりも放射線量が高いという理由などによるもの。教育委員会の所見は「日光市では安全宣言をしており、実施に支障はない」として、同常任委員会での検討の結果も不採択だった。だが少数とはいえ、保護者の不安の声が浮き彫りになっている。
横須賀市では今年、9月29日から10月12日にかけて、5〜6校がグループを組み、日光への修学旅行を実施した。県内では、大半の学校が修学旅行先を日光としており、震災の余震や放射能の影響を懸念して行き先を変更した学校(伊勢原市の一部など)もあった。教育委員会の所見では、「県内からの移動距離・歴史遺産など修学旅行先としての環境に適している」「同市が観光安全宣言をしており、現在何らかの制限もなく生活している」として、行き先の変更は考えていないことを改めて示している。
今年度実施の修学旅行において、こうした影響で不参加の児童は数人いたという。「不安を感じつつも参加させた」という保護者の声もあった。また、対応を巡って、学校側からも教育委員会に相談が寄せられたり、校長会でも検討議題に上がったという。
「日光に行く意義を説明すべき」
12月1日に行われた教育福祉常任委員会の席上で藤野英明議員(無会派)は、請願資料として提出された文科省航空機モニタリングマップの結果で、汚染が判明していたことに対して、教育委員会に現地の現状を確認したか、と質問。「出発前に文科省のホームページなどで確認をしたうえで、安全だという認識を持った」と答えるに留まっている。また、井坂新哉議員(日本共産党)は、日光市の測定基準が横須賀市よりも緩いことなどを挙げ、「必要のない放射線をできるだけ避けたほうがいいという原則から考えると、子どもが横須賀よりも線量が高いところに行くことに意義・意味がある-という旨を説明すべき」と発言。安全を確認することはもとより、保護者の不安を取り除くための動きを求めた。
一方、他の議員からは「修学旅行に関しては、教育課程上のもので、議会委員会で議論すべきではない」「住んでいる人がいることを考えると、こうした内容が議論に上がることに疑問を感じる」という意見もあった。今回の請願は不採択となったが、当市以外では、横浜市や相模原市などで、市民団体による修学旅行先についての署名活動が行われており、動向が注視されている。今回、請願書を提出した『「NO!NO!放射能」ミーティング@よこすか&みうら』の高野さんは「子どもを守るということに関して、教育委員会、議員の方との温度差を感じた。今後は、教育委員会と対立する立場ではなく、現状でできること・できないことを率直に議論できれば」と話している。
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