任期満了にともなう横須賀市長選(6月23日告示・30日投開票)の立候補予定者3氏による公開討論会が今月10日、ヨコスカ・ベイサイド・ポケットで開かれた。政策本位の政治選択の広がりをめざすまちづくり団体、横須賀青年会議所(横須賀JC)が主催。3氏は、会場を埋め尽くした約500人を前に、経済活性化や地域福祉などテーマごとに政策提言や討論を展開した。
出席したのは、出馬表明順に現職の吉田雄人氏(37)、前副市長の広川聡美氏(61)、市民団体前代表の岸牧子氏(56)。横須賀市出身の経済評論家、池田健三郎氏がコーディネーターを務めた。3氏はテーマごとに持論を展開。互いに質問をぶつける場面もあった。
経済活性化
市政上の重点政策として3氏とも掲げたのが、産業政策・経済活性化だった。吉田氏は、地産地消や観光集客、シニア世代向けの商店など「投資をする先を絞らなければならない」とした。さらに、横須賀中央エリアの再生に取り組む必要があると強調した。岸氏は、地元の中小企業を支える政策を提言し、具体例としてリフォーム助成制度の拡充をあげた。脱原発を掲げ、再生可能エネルギーによる雇用の創出にも触れた。広川氏は、中央エリアのみならず、市内各地で疲弊している商店街・市街地の再開発の必要性を主張。物流面では、国道357号線の延伸や横浜横須賀道路の通行料値下げを提言した。
行財政改革
行財政改革では、横須賀の地域性を織り交ぜた政策論争が繰り広げられた。
岸氏は市民の意見表明の機会として「住民投票条例」の制定が必要だと主張。財政運営の基本としては、市民サービスに十分税金を使うことは「貯めるよりも大切」だと述べた。広川氏は「身を削る努力」が必要とし、市長の給料を30%、退職手当を50%カットすることを掲げた。定年退職者分の補充を、再任用職員を配置することで人件費を削減する案を示した。吉田氏は、人口減少社会に合わせた市役所のスリム化を提言。自身の肝いりでもある財政基本計画を説明し、不動産業者との連携による遊休地の売却や、滞納対策にも言及した。
このテーマで吉田氏は、市民の負担について問題提起。国民健康保険料などを例にあげながら「値上げをするべきか、据え置くべきか」を2氏に質問した。これに対して広川氏は「国保は国庫負担分を増やすはたらきかけが必要」、岸氏は「市民の暮らしは厳しく、国保料は据え置くべき」と答え、考え方の違いも見られた。
防災・医療・介護
安心・安全というテーマでは、3氏とも福祉や基地など分野ごとに主張した。
広川氏は医師会や歯科医師会との連携強化や、障害者の親なきあと問題に取り組む考えを説明。基地関連では「日本の平和と安全のために(横須賀に)基地がある」と訴えた。吉田氏は「生涯現役社会」をキーワードに、市民健診の広がりと保健指導の推進をめざしたいと展開した。健診を受けた人にはプールの無料券を配るなどのアイデアも示した。岸氏は高齢者施策として、路線バスに乗り放題となる「はつらつシニアパス」の料金を現在の1万7千円から1万円に値下げする案など、具体的に提言した。
基地や防災との関連で岸氏は、米兵犯罪や横須賀に配備されている原子力空母についての認識を2氏に質問。吉田氏は「商業炉と軍用の原子炉は、性格も種類も違う」とし、空母配備については日米安保に基づいた「現実のもの」として受け止めていると答えた。広川氏は「犯罪と基地は別の問題。日本人であろうと米国人であろうと、犯罪防止の取り組みを進めたい」と述べた。
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