市立幼稚園2園の廃園時期が、延期されることになった。「公立園の存在意義が薄れている」として市は、2018年度末での廃園を打ち出していた。諏訪・大楠の両園を取り巻く状況の変化もあり、先月27日の教育委員会定例会で、廃止時期の先送りを決定した。
市立諏訪・大楠小学校に併設されている両幼稚園。市内私立園の役割的補完と共に、「幼児教育の研究活動」「支援を要する幼児の積極的な受け入れ」を目的に運営してきた。横須賀市は、「公立園の存在意義が薄れている」として、施設適正化計画に関連して、2018年度末の廃園方針を固めていた。
しかし、計画の発表以降、両園を取り巻く状況が変わったことを受け、先月27日に行われた教育委員会定例会で、先送りが決まった。市教委担当課では、市議会の第2回定例会で報告するとともに保護者にも説明。今後の協議の方法などを検討していくという。
「こども園」計画の遅れ
延期となった理由は、両園で異なる。市は公立保育園再編の一環として、上町・鶴が丘保育園を統合し、保育・幼児教育の機能を併せ持った施設「(仮称)中央こども園」を19年4月に設置する計画を進めている。これにより、廃園計画も当初計画の17年度末から1年延期された。今回、さらに先送りとなった要因は、同園の土地取得(横須賀地方合同庁舎の跡地一部/日の出町)が難航しており、計画が少なくとも1年は遅れる見込みとなったため。しかし、中央こども園の開園とともに廃園という道筋は変わらないという。
協定書の存在
「子どもと地域の将来のことを真剣に考えてほしい」と話すのは、大楠幼稚園保護者で存続活動を行ってきた眞中泰行さん。今年2月、廃園撤回を求める署名(約7千筆)を教育委員会に提出し、地域の状況を説明していた。
延期の決め手となったのは、40年前に結ばれた「協定書」の存在。長坂地区の廃棄物処理場設置に関して「地域に幼稚園・小学校を設置する」との内容で、2年後に同園が設置された。その経緯から考えて「保護者や地域と慎重な協議が必要」と廃止延期となった。眞中さんは「私立園のないこの地域での存在意義は大きい。人口も減少しておらず、なぜ廃園なのか。納得のいく説明をしてほしい」と話し、引き続き計画の撤回を求めていくという。
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