横須賀版 掲載号:2018年3月2日号 エリアトップへ

県立横須賀高校ラグビー部への取材をもとに小説を出版した 花形 みつるさん 上町在住 64歳

掲載号:2018年3月2日号

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全力取材 ゼロからの挑戦

 ○…丸3年、横須賀高校ラグビー部に密着し入魂のスポーツ小説を書きあげた。きっかけは2006年。紹介を受けて名指導者、坂本成利氏に話を聞く機会に恵まれた。素人の自分に懇々と魅力を話してくれる真摯な姿勢に感動。練習見学では、部員の礼儀正しさと大きな体がぶつかり合う凄まじい光景に心を掴まれた。「ラグビー小説を書きたい」とその日から、執筆に向け取材を開始した。

 ○…デビューは34歳の時。絵を描くことが趣味だったが、育児をきっかけに「簡単な道具でできるものがいい」と始めたのが物語を編むことだった。夫の学習塾を手伝いながら、子どもたちを観察し作品に落とし込む。納得いくまで書いては破り、書いては破り。そしてできたのが『逃げろ!!ウルトラマン』。文藝賞候補となったことをきっかけに作家の道を歩み始めた。ペンネームの「花形みつる」は幼少期に親しんだ人気漫画から拝借。「ふざけた名前を付けちゃって。実は変えたい」と冗談半分。が、性別の判別がつきにくく「潜入感を持たれなくて済む」とこの名前と並走する。

 ○…作家人生30年で「最も大変だった」のが育児との両立。デビューと同時に娘が生まれ、自分が作家として成長する時期と重なった。睡眠を削って執筆する毎日。それでも「出だしが肝心」と体調を崩しながらも筆を握った苦労の時期が現在までの糧となっている。

 ○…育児に区切りがつくと、できた時間は取材に充てた。葛飾北斎を題材にした『しばしとどめん北斎羽衣』では、全国ゆかりの地へ足を運び、自分の肌で感じたことを物語に反映させた。ゼロから始めたラグビー小説は取材に莫大な時間を要した。気づけば完成までにかかった時間は10年。それまでは好きなもの、知っているものを題材にしていたが、「ゼロから作ることで、自分の世界が広がった」。今後は「横須賀の歴史を調べてみたい」と新たなチャレンジに意欲を見せた。

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