2001年に国連などにより策定されたミレニアム開発目標(MDGs)。貧困や飢餓の撲滅、環境の持続可能性確保―など8項目を掲げ、主に途上国の課題解決に重点が置かれていた。これを基にしたのが先進国も取り組むべきSDGsの「17の目標」。MDGsの時代から食品ロス問題に取り組んでいた本岡俊郎さん(横浜市在住)が16年に立ち上げたのが、神奈川フードバンク・プラスだ。横須賀市を中心に、横浜市の金沢区などで活動する。
「フードバンク」は商品としては問題がないが、賞味期限が迫っている・包装の破損・規格外品であるなどを理由に流通されない食品を無償で提供する活動。団体設立の大きな目的は「社会の表面からは見えにくい、苦しい生活をされている人の支援」。これに食品ロス削減を掛け合わせて、地域での課題可決に取り組む。
相対的貧困の現状
池上にある倉庫には、提携している食品製造・流通企業の数社と、「フードバンクかながわ」等から取り次いだ食品が積まれている。これを市内の子ども食堂など10数団体に提供するほか、自治会と協力して公営団地で配布会も行う。「最近では、個人世帯からの依頼も増えている」と話すのは、理事の鈴木千尋さん。ここから浮かび上がるのは経済的に困窮する「相対的貧困」により”充分に食べられない”という現実。高齢者やひとり親世帯の増加といった背景も絡まる。
同団体の配布実績は昨年度1年間で約13t(横須賀市内ほか)という規模。小さいながら「受ける・渡す」のネットワークはできつつあるが、食品メーカーなどからの提供も、日本全体で見れば、フードバンクが扱う量は0・1%程度だという。一方で、食料の支援を必要としている人は「潜在的にまだまだ多数いる」という見方だ。
市内では、環境啓発のイベント「アイクルフェア」の会場で家庭にある余った食品を持ち寄る「フードドライブ」も実施。行政機関との連携も強める。「食品ロス削減や貧困問題など、その先にあるものを知るきっかけになれば」。課題は、仕分けや配送などボランティアの確保や提供場所、そして「公的支援から抜け落ちている人など、物だけでなく福祉のフォローや情報を行き渡らせること」と話した。
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