横須賀市役所の職員が先ごろ、ヒト・モノ・コトの地域資源を活かしてビジネスを展開する一般社団法人を立ち上げた。地場産品の販路開拓や加工品の開発を行うほか、シニア世代を意識した新サービスにも乗り出す。本業で培った人脈を活かし、稼いだ収益を地元に還元する仕組みづくりをめざす。同市役所の職員が兼業の形で法人を設立した例はこれまでにないという。
法人名は「KAKEHASHI」(かけはし)。熱い想いを持つ人たちを繋げて理想を実現する”架け橋”となることをめざして名付けた。30代の中堅職員である高橋正和さん、山中靖さん、松田こずえさんの3人が代表理事を務める。
地方公務員法は原則として営利目的の副業を禁止しているが、任命権者の許可を得れば時間外に限って許されるという。3人は上地克明市長に直談判。横須賀の将来に資する取り組みであり、職員の意識改革に向けたチャレンジであることを力説して承諾を得た。
現時点で3つのプロジェクトを進めている。横須賀野菜の価値創造をテーマにした加工品開発、生花店と連携して1人暮らしの高齢者宅に生け花キットを届けるサービス、立教大の学生と協働した商店街の逸品づくりがある。これらの事業を軌道に乗せ、安定した収益を確保することで教育や人材育成の領域にも着手していく構えだ。
高橋さんによれば「公務員の市民サービスは平等・公平が原則。先端の取り組みや成長の可能性を感じる事業者がいても個別の応援ができない」と話す。法人の立場で「ある意味差別的な支援」に踏み込み、強い地域経済をつくるという。
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