横須賀市は、ふるさと納税の寄付額と市内事業者の売上の拡大を目的に、2023年度から「ふるさと納税アドバイザー」を設置した。ノウハウや知見を有する民間の専門家を登用して約3カ月。庁内の体制づくりや事業者への営業活動などに活かされたことで、6月までに約50の返礼品が新規登録されるなど、徐々に成果が出始めている。
目標は3・5億円
市は16年度から「横須賀応援ふるさと納税」制度を導入。浦郷町に事業所を構える株式会社オカムラのオフィスチェアと平成町に工場がある有限会社マーロウの洋菓子が全体の8割程度を占めるなど金額を押し上げ、22年度の寄付額は推定約3億円に上る。
地方自治体が寄付獲得にしのぎを削るなか、市は今年度の受け入れ目標額を3億5千万円(4500件)としている。これをさらにテコ入れするため、「ふるさと納税アドバイザー」に就任したのが、楽天グループ株式会社の元社員・山田穂高さん。同社の地域創生事業ふるさと納税事業部に勤務し、今年3月独立。これまで得た知識をもとに「寄付額拡大を通じた地域活性化」を掲げ、ふるさと納税の活用を促すコンサルティング業務を全国の自治体で行っている。
山田さんは「域内事業者の売上拡大」と「自治体職員の経営意識向上」を重視。全国的にトレンドになっている商品や寄付しやすい金額、数多ある自治体・返礼品の中からどうしたら選んでもらえるか-といった戦略をアドバイスしている。
庁内チーム結成
従来は財務部が所管していたが、4月から経済部創業・新産業支援課長が兼任する形でふるさと納税企画担当課長職も設置。職員2人を営業担当に充てた。専任となったことで、事業者への働きかけが能動的になり、「営業や企画提案などしやすくなった」と担当者は話す。
さらに農水産業、工業、商店街、観光など参加事業者の業種が多岐にわたることから、庁内で持ち得る情報を共有し、営業につなげようと組織横断型のチームを結成。農水産業振興課、企業誘致・工業振興課、商業振興課、観光課などから21人が参加し、各課が”自分事”として事業の推進に取り組む。
また、取引先として多くの市内事業者と接点を持ち、普段から販路開拓やビジネスマッチングなどを行う地元信用金庫や横須賀商工会議所とも連携。ふるさと納税の概要や魅力を伝えるセミナーなどを用意して事業支援につなげていく。
新商品が続々
4月1日時点で66だった参加事業者数を120に、262点だった返礼品数を1000に拡大する年度内目標を達成するため、山田さんを交えた面談を通して、新たな返礼品の開発や既存アイテムのバリエーション、新規事業者の登録促進にも力を入れている。
その一例として23年度からは、今年1月ヴェルニー公園内にオープンしたイタリアンレストラン「アマルフィイ」の食事券や品質の良さで人気を得ている横須賀刑務支所製の洗濯用せっけん「ブルースティック」の詰め合わせ、旬の野菜を楽しむ農業体験プログラムなどが仲間入り。そのほかにも「よこすか潮風メロン」や「はねっ娘枝豆」といった”横須賀ブランド”の野菜・果物が新たに登録され、市内特産品の全国流通の足掛かりとしても役立てられている。
市は返礼品の魅力向上に努めながら、今後もホームページやSNSなどで市外居住者に向けて情報を発信し、寄付を呼び掛けていきたいとしている。
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