中日ドラゴンズで活躍した元プロ野球選手 石井 昭男さん 三崎出身 64歳
人生変えた出会いに感謝
○…「『負けるが勝ち』。この歳になってその意味が分かった」。半世紀以上、歩みを共にしてきた野球から学んだ人生哲学を感慨深げに説く。「人は負けることで強くなる。負けるのには原因があり、それは負けなければ分からない」。実力主義のレギュラー争いに身を置き、怪我や不調などに翻ろうされながらも実直に野球一筋で戦ってきた自負がある。
○…小学生の頃、地域の野球大会への参加が最初のプレーだった。運動に長けていたが、特別野球に関心があったわけではなく「勧誘があまりにも熱心で」。それでも体験してみれば楽しく、当時、国民的スター選手だった長嶋茂雄氏に憧れた。東海大相模高、東海大へ進学し、中日ドラゴンズに入団。「甲子園に出て、プロ野球選手になりたい」。小学校の卒業文集で書いた夢は10年後、現実となった。
○…「入団を断ろうと思っていた」。大学在学中、社会人チームから内定を受けたところに、ドラフト指名の一報。すでに新天地での活躍を決めていたが、監督の強い勧めでプロ入りした。印象的だったのはオープン戦から絶好調だったある年、ファンから「石井を出せ」とスタメン出場を望む声があがったこと。交代相手は攻撃の要だった田尾安志選手で、やりがいに繋がったという。その後、怪我で長期離脱もしたが、4番で打率3割超の好成績を残す原動力にもなった。
○…努力・実力、運。運命づけるものは様々だが、人生の岐路には人との出会いが決断の後押しになったと振り返る。「高校進学と同時に三崎を出なさい」と助言してくれた家庭教師のおかげで広い世界を知った。プロをめざす子どもたちには「大きな視野を持つ大切さを伝えたい」。次代への期待を込めた。
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