三浦修道院の代表を務める 渡辺 清子さん 金田在住
苦しみ喜び分かち合う
○…金田の小高い丘に佇む木造和風の建物。そこでシスターたちが、共同生活を送る修道院の代表を務める。珍しい畳敷きの聖堂は、太陽の光が差し込み、窓から三浦海岸や房総半島を一望。厳粛な雰囲気の中に自然の柔らかさが混在する。信仰を問わず、静寂を求めて訪れる人もおり「寄り添う存在でありたい」と奉仕の心を説く。
○…今から3年ほど前に三浦の地へやってきた。本部を置く鎌倉など国内のみならず、拠点のある東ティモールを転々としてきたが、今の暮らしの心地良さを笑顔で語る。畑では自家消費する農作物を栽培。環境負荷を抑えた自然との調和や近隣住民の理解などを挙げ、「不便さもあるが、自然と人に恵まれた土地」と実感を込める。
○…「がんについて誰でも身近に話せる場所があることが理想」。2カ月に1度開かれる「がん哲学外来メディカルカフェ」の第4回が先ごろ、好評のうちに終了した。国内150カ所以上に広がる一方、未普及だった三浦半島地域の先駆けとして昨年からスタートさせ、その輪は広がりつつある。「始めたとき(提唱者の)樋野先生から『まず3年』と。今は続けることの大切さと大変さを感じているところ」。この日もがん患者らが秘めた胸のうちを語る様子に耳を傾け、時折優しく相槌を打ち、言葉を掛けた。「その人がその人らしく生きられるよう力になれたら」
○…「すべての生命と共生する」。苦しみも喜びもともに分かち合い、誰しもが与えて、与えられる地域の交わりの場でありたいとする。その思いは伝播し、地元農家からの野菜のおすそ分けやボランティアが駆けつけて昨年の台風による倒木を撤去してくれたことも。一期一会の出来事に感謝を捧げる。
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