感謝と幸せ、音にのせて

　○…ポップスやジャズの名曲をサックスで奏でたアルバム「Ａｔ Ｓｅｖｅｎｔｅｅｎ」を１月末にリリースした。いつか実現できたらと思っていたＣＤ制作は、「今しかない素直な音を残そう」と師の勧めで開始。高校最後の年を飾る記念の１枚ができた。「良くも悪くも等身大。聴くと初心にかえることができる宝物」。ジャケット写真は三浦海岸や大根畑で撮影し、原点である故郷三浦の風景も収めた。

　○…幼い頃にピアノを習い始め、南下浦中では吹奏楽部に所属。３年間ホルンパートを続けながら、趣味でサックスも吹いていた。好きが高じて一昨年、三崎・海南神社神楽殿で行われたライブで初ステージを踏んだ。そこで国内女性サックス奏者の草分け的存在の朝本千可さんと初めて対面。縁と環境に恵まれ師事することになった。

　○…「サックスがあって良かった」。１年生の冬以降、新型コロナに翻弄され続けた高校生活。外出自粛期間を練習にあてることで、気落ちすることなく前向きでいられたという。練習は専ら父・克浩さんが営む自動車整備工場のガレージ。ロカビリーバンドを組む音楽好きの父のサポートを受けて「ユーチューブ」に演奏動画を投稿したり、地元のプロアマが集う「ミニミニ港音楽祭」に出演したり。家族や地域に育ててもらったという思いは強い。

　○…春からは美容短大へ進学。「魔法みたいで嬉しかった」と、七五三の着付けをきっかけに憧れる美容師になるための一歩を踏み出す。「ヘアメイクも音楽も人を幸せにしてくれるところが似ている」。ゆくゆくは高齢者や障害者施設などを回る「訪問美容師にもなりたい」と目を輝かせ、サックス演奏との二足の草鞋で、人々に幸せを届ける日を夢見ている。