山口 憲一さん 菊名在住 58歳
「グレッチ」に恋して
○…ビシッとキメたリーゼントに、プレスリーが愛した腕時計ハミルトン・ベンチュラが輝く。ギタリストとして、ロカビリー一筋の人生を歩んできた。市内初のライブでは、錚々(そうそう)たる顔ぶれが並ぶ。「海を間近に眺められる会場で自然を感じながら、思う存分、音楽を堪能してほしい」
○…東京都足立区で生まれ、小学校入学前に横浜市磯子区へ。6年生の時には、横須賀市追浜に移り住んだ。高校時代は「キャロル」「横浜銀蝿」に熱狂。ある日、ネオロカビリーブームの火付け役として一世風靡した「ストレイ・キャッツ」の曲を耳にすると、「ロックのルーツはアメリカにあるんだ」と衝撃を受けた。カセットテープが擦り切れるほど聴き、雑誌で3人の写真を見た時、アコースティックな楽器で演奏していることにも驚いた。大学に入ると、友人に譲ってもらったエレキギターをかき鳴らして夢中でコピー。20代半ばで、伝説のバンド「MAGIC」のメンバーとして、一躍脚光を浴びた。
○…現在は、ロカビリーファッションブランド「JOHNNY KOOL」のプロデュースや楽曲提供もするが、あくまでミュージシャンを貫き通す。相棒は米国が生んだギター・1959年製グレッチ。滑らかな曲線を描くフォルムに堅牢(けんろう)なボディを肩にかけ、ひとたびステージに立てば、息を呑むほどのプレーで観客を魅了する。
○…音楽制作のため、5年前から群馬県のスタジオと三浦の2拠点生活を送る。「こっちは海、あっちは山。草刈りが無になれる瞬間」と笑い、環境の変化が創作イメージを膨らませる。「ロカビリーはずっと好きで、大切なもの。このグレッチでライブが続けられれば幸せ」。そんな一途な想いを胸に音を奏でる。
|
|
|
|
|
|