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三浦 人物風土記

公開日:2023.03.17

「能面展」を初開催する
横山 均さん
原町在住 75歳

無心で面打ち、宿す魂

 ○…声楽と囃子に乗せて舞踏する日本の古典芸能の一つ「能」。室町時代に広がった仮面劇で、強さを感じる霊獣「獅子口」や目尻を下げた翁「白式尉(はくしきじょう)」といったバラエティに富んだ面は舞台で重要な役割を果たす。面打ちに精を出す姿を見た友人からの勧めで個展を初開催。「能面を間近で見る機会は少ない。左右上下で表情が変わる奥深い面を通して、能に興味を持ってもらえれば」

 ○…長野県木曽町の材木屋からヒノキを仕入れ、ノミや彫刻刀で細部がくっきりと浮かび上がるまで削っていく。「木の香りを感じながら、無心で造形する過程が面白い」。膠(にかわ)や胡粉(ごふん)を混ぜて何度も塗り重ね、岩絵具で上塗り。眉毛に麻、髭に馬毛を用い、古色で味を出すなど、こだわりが垣間見られる。「根気が必要で、年に2〜3つ作るのが限界」と笑う。

 ○…三崎で生まれ、幼い頃は「いなりっこ」に参加した。「戦後間もない時代、稽古場には子どもが溢れていた。面を付けた体験が、今の活動に繋がっているのかも」。大学卒業後、電機メーカー・東芝に入社。営業企画を任され、四国や広島、都内などで過ごした。「21世紀から新しいことに挑戦しよう」と、2001年1月に横浜で開かれた能面教室に参加。洗練された美の世界に魅了され、創作は生活の一部になった。自宅には、これまで制作した能面が所狭しと並び、「娘を嫁に出すような気分」と知人の新築祝いにプレゼントすることもある。

 ○…両親が亡くなったことをきっかけに昨年2月、三浦へと戻ってきた。ソフトボールチーム「マリーンズ三浦」で汗を流す傍ら、鎌倉に能を観に行く。「納得のいく能面はまだ完成していない。もっと勉強しないと」。更なるスキル向上を目指して腕を磨く。

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