逗子市が改訂作業を進めてきた津波ハザードマップがこのほど完成した。今月末にも広報ずしの折込で全戸配布する。昨年3月に発表された県の浸水予測図をもとに刷新。市域への浸水予測エリアが大幅に見直されたほか、新たに登録された津波避難ビルや避難経路も示されており、市では有事の際の活用を呼びかける。
浸水予測エリア、大幅見直し
マップは、県が公表した「津波浸水予測図」の中から逗子地区の被害が最大になるケースとして想定した「明応型地震」(マグニチュード8・4相当)の浸水予測を示したもの。想定では最大8・9mの津波が59分後に到達するとしている。
マップは両面刷りでA1版のフルカラー。浸水による深度によって黄、緑、青など14段階に色分けしており、一目で浸水エリアが分かるようにした。これまでのマップでは沿岸部の一部地域が「浸水する」との予測を示していたが、今回の改訂版ではエリアと深度を大幅に見直し。小坪マリーナ周辺では最大10m以上の浸水予測が示されているほか、逗子海岸沿岸部では5mから7m、さらに市役所周辺など市街地でも田越川流域は「3階以上の高台への避難を必要」とする5m以上の予測が目立った。内陸部に位置する池子などの一部地域でも「人命に影響する恐れがある」に該当する0・8mから1・2mの予測が示されている。
市街地4割浸水も
市防災課によるとマップに基づいた市の浸水面積は2・73平方キロメートルで、市全域の15・7%にあたる。ただこれには内陸部の山なども含まれており、披露山やアザリエなど高台にある住宅地を除けば「市街地の3割から4割は浸水する可能性がある」との見方を示す。
市では昨年末、市民からマップへの意見を募る計3回のワークショップや今年1月にはパブリックコメントを実施。一部意見も盛り込んだ。さらに今回の改訂版では新たに登録されたマンションや企業ビルなどを含む全38カ所の津波避難ビルの場所を示しているほか、市が取り組む避難表示経路シートの紹介などもされており、「ただ見るだけではなく、一度マップを持って実際に避難経路を確認してほしい」と呼びかけている。また住宅地への浸水域予測が「県下トップクラス」となったことについては「あくまで最悪の事態を考えた想定。必要以上に怖がらず、分かりやすい場所に貼り付け、有事の際に役立ててほしい」としている。
市ではマップを3万部作成。全戸配布以外にも市民交流センターや図書館、小中学校などの市内公共施設、さらに沿岸部などの飲食店などにも設置を依頼し、閲覧性を高める。
問合せは市防災課【電話】046・873・1111まで。
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