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逗子・葉山版 公開:2019年5月1日 エリアトップへ

愛車と走るよどこまでも 時代が変わっても変わらないものがあるここでは憧れの一台を手にし、乗り続ける2人を紹介します

文化

公開:2019年5月1日

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シングルナンバー輝く フェアレディ 葉山町在住 大串さん

 ダットサン・フェアレディ。日産の現行モデル・フェアレディZの源流であり、軽量な車体とその馬力で名だたるレースを制したことで知られる名車だ。この車を1967年に新車で購入して以来、半世紀以上にわたって乗り続けているのが大串則義さん(上山口在住・79歳)。シングルナンバー(ナンバープレートが1桁)の同型車は国内に数台しかないとされており、雑誌などにも取り上げられたことのある、知る人ぞ知る存在だ。

親からは反対

 父が日産に勤めていたという大串さんはいわゆる「日産党」。ブルーバードを2台乗り継ぎ、フェアレディに出会ったのは27歳の時だった。

 当時は太陽族の全盛期。「やんちゃな人たちが、女の子をはべらせて乗る車というイメージが強かった。日産に勤めていた父でさえ、『あれだけはやめておけ』と言って反対されました」と振り返る。

 デザインや性能に惚れ込んでいたが、当時の価格で88万円という金額はそう簡単に出せるものではない。後押ししたのは販売店の粘りだった。

 「『栄光への5000キロ』という映画が流行っていて、同じ番号のナンバーが取れたら即決するとポロっと言っちゃったんだな」。これを聞いたベテランスタッフが新人を陸運局へ待機させ、ちょうどのタイミングでナンバープレートを申請したのだ。「ここまでやられたら引けない。だけど内心嬉しかったよ」

人生の相棒として

 憧れの車を手に入れた大串さん。妻とともに、あるいは1人で全国各地へ出かけた。2人乗りのシートに、幼い長男をこっそり乗せていたのも、今となっては良い思い出だ。

 一時期はレースにも参加するなど、フェアレディが持つ走りの魅力にのめり込んだ。

 オーナーズクラブにも入会し、全国に友人ができたことも大きな喜びという。「この車のおかげで色々な所へ行くことができて、沢山の仲間と出会えた。急に雨が降ってきて車内が水浸しになったりもしたが、どれも良い思い出です」

 このクラブには100人以上のメンバーがいるが、新車で購入して車検を通し続け、シングルナンバーを持っているのは2人しかないという。

コンディション好調

 気になるコンディションは好調。今でも1発でかかるエンジンはオーバーホールすらしたことがない。「この時代のものづくりはすごい。本当に頑丈です」

 ただ、現代の車のように決して快適とは言えない。パワーステアリングがないハンドルは重く、暖房はあるが、クーラーはない。夏に渋滞にでも巻き込まれたら汗だくになるのは必至だ。幌の開閉も一苦労で、急な雨に備えて雨合羽を常備しているという。

 「道楽とは言え、こうして乗り続けて行くのは本当に大変」と大串さん。しかし、「だからこそ愛着がわくんですよ」としみじみと言う。

 「ここまできたら意地の張り合い。どちらが長生きするか勝負ですね。これからも乗り続けますよ」と笑顔で語った。


あの頃のワクワク感 今も 逗子市在住 和田さん

 「ドドッ、ドドッ、ドドッ、ドドッ」

 腹の底に響くようなエンジン音がすると、モノクロ映画から出てきたようなバイクが姿を現した。

 逗子市にある老舗鮮魚店「魚平商店」3代目店主の和田大輔さんが乗るのは、第二次世界大戦で活躍した軍用ハーレーダビットソンWLAだ。

「思想にじみ出ている」

 WLAは第二次世界大戦を機に、アメリカ政府の要請を受けてハーレーダビットソン社が製造したもの。戦地における情報伝達や夜間の急襲時などで活躍したという。ワイルドな見た目とは裏腹に、戦地で求められている機能が細部まで作り込まれているのが特徴だ。

 例えば、エンジン下の分厚い鉄板は敵に出くわしたとき、車体を横倒しすれば即席の弾よけになる仕様。また、このバイクには鍵がない。「戦地でカギをなくしたら命に関わるから、省いたんでしょう」と和田さん。右ハンドル近くにあるのは銃を入れる「ガンホルスター」で、アクセルは銃撃戦時に手を放しても戻らないようになっている。「それぞれのパーツや仕様に意味がある。設計者の思想が見えるところがこのバイクの最大の魅力」と語る。

運命の出会い

 模型作りが好きな子どもだったという和田さん。かつてWLAを作ったときのことを今でも覚えている。「つくづくカッコいいなと思った。いつか乗ってみたいなと」

 その後、父の影響もあり、16歳の誕生日に高校の授業を休んで免許を取りに行くほどのバイク好きに。自分で整備をしながら、様々なモデルを乗り継いできた。

 17年ほど前、ライダーが集まるフリーマーケットで長年憧れていたWLAに出会った。そのオーナーが偶然、和田さんの持つバイクを探していて交換が成立。「まさか本物が自分のもとにくるとは思っていなかった。それはもう嬉しかったですよ」

 いくつか故障箇所があったものの、部品や整備マニュアルを本国から取り寄せ、普段使いできるまでに仕上げた。今では週3回、三浦半島をぐるっと一周走っている。「本国には豊富にパーツが流通しているし、構造がシンプルでとても頑丈。しばらくは壊れる気がしない」

歴史に思い馳せ

 「零戦や戦艦大和と同じ時代のものだと思うと改めてすごいなと思います」と愛車を見つめながらつぶやく和田さん。

 「コストも手間もかかっているのに、戦地で乗り捨てることが前提だったのだから当時のアメリカの技術力の高さを感じる。何より、これまで色々なバイクに乗ってきたが、こんなことを考えさせてくれるバイクはない。WLAはやっぱり特別な一台です」

 歴史の移り変わりに思いを馳せながら、子ども時代に感じたあのワクワクを胸に、これからも走り続けるつもりだ。

「今も絶好調だよ」と笑顔で語る大串さん(上)、購入したばかりの頃、第三京浜料金所で
「今も絶好調だよ」と笑顔で語る大串さん(上)、購入したばかりの頃、第三京浜料金所で

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