春の到来を告げるワカメの収穫。葉山町でも、今月10日に天然ものが解禁となった。海の恵みをこれからも安定的に収穫できるよう、漁業関係者は新技術を使った養殖の実証事業を行っている。
湘南や三浦半島エリアでは6年ほど前から、海水温の上昇によって生育が遅れたり、溶けるように枯れてしまう現象が多発。以前は見られなかったアイゴやメジナなどによる食害が追い打ちをかけている。葉山町漁業協同組合(角田正美組合長)は、こうした現状を打破しようと芝崎にある鹿島建設(株)葉山水域環境実験場とともに養殖試験を三ヶ浦沖で行っている。
同実験場の山木克則さんら研究チームが天然ワカメから採取した種(配偶体)を殖やし、大量に種苗を作る技術を開発。これを活用し、今の環境に適応するワカメの開発を目指している。現在は大人の背丈まで大きくなった2012年の大型ワカメと、高水温でも良く育った2016年のものを掛け合わせ、4つの品種を育てている。
また海水温のデータを計測し、漁期も工夫した。例年、アイゴなどの食害を受けるのは水温が下がり切らない12月。東京湾の漁師から種を仕入れすぐに海に入れていたため、被害がないように祈るしかなかったが、地元で種苗を作るれるようになり、時期の調整が可能になった。
今年は種苗をつけたロープを1月に投入。今月11日には、山木さんや地元漁師の高山清志さんが生育状況を確認した。4種のワカメはそれぞれ最大80cmまで伸びており、「食害もなく、よく育っている」と山木さん。「葉山の天然ものの特徴である葉の深い切れ込みもしっかりある。3月いっぱい収穫できそう」と高山さんは手応えを語った。漁協では今後、近隣地域での応用も視野に、養殖技術の確立とブランド化を進めていく考え。「葉山ワカメ・オーナー制度」で活用していくほか、漁協海産物直売所でも販売する。
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