マスターズ陸上競技女子60ｍで日本新記録を樹立した
松尾真弓さん
葉山町在住　70歳

走る喜び生きる力に

　○…10月に行われたマスターズ陸上競技記録会に出場し、70〜74歳の部女子60ｍで９秒48をマーク。日本記録を更新した。「夫をはじめ、たくさんの人のサポートと応援があったからこそ。次は１００ｍで日本新記録を出したい」と次なる目標を掲げる。

　○…「子どもの頃からかけっこが大好きだった」。中学高校では陸上部に所属し競技に熱中したが、東京都の大会で２位が最高記録だった。その後、グラウンドからは離れ、３人の子を育てて横浜市でソーシャルケースワーカーとして従事。１９８９年に「にこにこ保育園」を立ち上げ、現在も園長を務める。２００４年に認可保育園、16年には社会福祉法人となった。

　○…いつも園の子どもたちとかけっこをしていたが、マスターズを意識したのは60歳を超えてから。週２回、横須賀市の不入斗公園陸上競技場で練習を始めた。アップや体幹トレーニングをみっちりとこなすのがポイントで、フォームの研究にも余念がない。「平日は貸し切り状態で最高の場所。練習はきついし苦しい時もあるけれど、終わった後は悩みやストレスが吹き飛ぶ」と晴れやかな表情で語る。全国各地で開催されるマスターズに出場することで、切磋琢磨する仲間とも知り合えた。

　○…「子どもはかけっこすると皆笑うし、リレーともなれば一生懸命になって周りも応援する」。そんな走ることの不思議な魅力に誰よりものめり込んでいる。各種大会が控えているが、今はもっぱら「大事なビッグイベント」と称する保育園の運動会に向けて調整に注力している。「私は本当に走ることだけが得意なんです。『園長先生速い』の声援のために頑張ります」と茶目っ気たっぷりに語った。