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公開日:2023.01.01

「決める責任胸に臨む年」
3期目最終年の抱負語る

  • インタビューに答える山梨町長

 新年の幕開けにあたり、本紙は山梨崇仁葉山町長にインタビューを行った。大型事業の進捗状況や、3期目最終年となる2023年の抱負を聞いた。(聞き手=本紙編集長・関口雄貴)

 ――昨年を振り返ってどんな1年でしたか。

 葉山においては大きな災害がなかったことが何よりでした。コロナについても町民の方々が前向きに付き合ってくれた印象です。海水浴場開設や花火大会のようなイベントのほか、タウンミーティングも小規模でしたが開催することができました。今年はコロナをひとつの風邪のように捉えて、地域活動やイベントをなるべくやってもらえるよう、動いていきたいです。

 ――大型事業が進んでいます。

 上山口小学校における親子方式の中学校給食開始に際し、地元の方々にご不安に思わせたことを大変申し訳なく思っています。ただ、議論を通じて課題点がはっきりし、対策を取れるようになりました。中学生に給食を食べさせるのは社会のニーズであり、今春からようやく実現します。

 クリーンセンターの解体も現状は3〜4割の進捗で順調です。1月中に煙突を撤去し、年度内に主要部分は終わります。下山口における下水配管敷設については通行止めなどで地域の方にご迷惑をおかけしていますが、ご協力をいただき本当に感謝しています。この事業も主要な工事は3月に終わる予定です。

 ――町内会で実証実験を行っている生ごみ収集体制について聞かせてください。

 クリーンセンターの生ごみ資源化施設設置に伴う生ごみ収集について、いくつかの町内会にご協力いただき実証実験を行っています。様々な声をいただき、当初想定していた週1回はやめて2回にする方向に変えています。議会にも中間報告をしましたが、収集回数とあわせてなるべくバイオ素材100%に近い生ごみ用袋も無料配布で検討しています。

 また主要なものになりますが、分別の一部変更についても改めて検討しています。プラスチックのリサイクルについては横須賀市で国内最大級の廃プラスチックリサイクルプラントが稼働したことで、町民の負担減につなげられるかもしれません。2025年の収集の全体的な体制変更に向けて、皆さんに説明、広報していきます。

「子どもたちの発信に期待」

 ――制度設計の過程が珍しい形でした。

 従来、行政は出来上がったもの、決まったことをお渡しするのが普通ですが、生ごみ収集については暗中模索で始めたのが実情です。「まちづくりをともに」とよくお願いしますが、実際に試行錯誤をさせていただく機会をいただき、さまざまな声やデータを収集できたことは本当にありがたかったです。葉山の皆さんの懐の深さの現れであり、すごいことだと感じています。

 生ごみ収集のコストについては、新たな支出を増やさないことが基本姿勢です。今の燃えるごみの約半分が資源化施設で堆肥化されることで焼却費が浮きます。その分を収集や専用袋の費用に充てる形です。仮にオーバーしても、環境貢献の一環としてご理解いただける範囲に留めたいと考えています。いずれにしても、新たな費用や手間を増やして負担が増えることにならないことが大前提と心して取り掛かっています。

 ――町政100周年まで2年となりました。

 昨年、職員向けにヒアリングして色々アイデアが出てきました。機運を高めていくためにも、官民連携の企画や民間のバックアップもしていきたいです。また、大きな節目になるので特に公共施設や旧役場跡地の利活用について決断する場面が増えます。旧役場跡地については、過去40年にわたって未定なまま現在に至ります。ただ、昨年3月にバス停の上屋を作った際、跡地に上がれるよう階段を設けたことが町の覚悟を示しています。その実現のためには、今後の公共施設の建物や機能のピースをどうはめていくか、2025年までに決める必要があります。行政にはどうしても「決めきれない」という「悪しき慣習」があります。ですから「決める責任」を持ちます。ただ、その重さをひしひしと感じています。学校施設等も「何年後には使えなくなります」と言わなくてはならない時が近い将来きます。当然異論も出ますが、100周年を2年後に控えた今、私が一番向き合わないといけないところです。

 ――3期目最終年でもあります。

 右肩上がりの時代ではなく、シュリンク(縮小)する時代こそ、私や役場が常に何を考え、何をしているのかを発信して協力をいただけたらと思います。生ごみ収集の実証実験もその一例です。ただ、暗い話ばかりではありません。100周年にはワクワクするような取組みを皆さんとアイデアを出して企画します。また、「健康と睡眠」というテーマで民間企業や研究機関との連携を深めながら、元気に葉山で過ごしていただくサポートに向けた準備もしています。

 ――今年の抱負を聞かせてください。

 引き続き「対話」がテーマです。また、マスクや環境保全の分野で葉山の子どもたちの行動力や発信力をここ最近、立て続けに目の当たりにしました。ビーチクリーンをしている子から「拾っているのは葉山の人が海で捨てたのではなく、都会の人が川に捨てたもの。都心や他地域に住む大人へ葉山から発信してほしい」と提案され、感動と感服しました。子どもたちを中心に発信する場を設けていきます。ちょうど3月にフォーラムを開く予定なので、「これからを生きる人たち」の訴えを多くの大人に聞いてもらい、行動を変える機会にしたいと考えています。

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