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逗子・葉山 人物風土記

公開日:2023.02.17

草月流いけばな作家として活躍する
久保島 一裕さん
逗子市在住 37歳

「人の心 動かす作品を」

 ○…歴史あるいけばな大賞2022で文部科学大臣賞を受賞した。「大賞を目指していたので正直悔しい。次こそは1位を目指したい」とまっすぐ前を見つめる。異色の経歴で飛び込んだ「いけばな」の世界。その歩みは始まったばかりだ。

 ○…逗子で生まれ育った。小学生の時から野球に熱中し、逗葉高校では県大会ベスト16を経験。大学でも白球を追い続け、卒業後は大手警備会社に就職した。現場や営業を経験するなかで、大きな組織の歯車として動くことにもどかしさを覚えた。「自分で事業をやりたいという思いが日増しに強くなった。飲食店などいろいろ考えたけれど、最終的にやっぱり花に行き着いた」

 ○…父・久保島一超さんが著名な草月流師範。子どもの時から仕事を間近に見てきたが、「展示の手伝いなど雑用だけで花の名前を何となく知っていた程度。いけたことなんてなかった」。25歳で一念発起し、父と同じ道へ。ただ当初は反対され、弟子入りなど「論外だった」とも。そこで横浜の老舗花屋で3年間修行生活を送り、がむしゃらに花や商売のイロハを学んだ。

 ○…2015年に横浜市で生花店を開業。結婚式の装飾を手掛け、フラワーデザイン教室を開くなどして店舗を3つまで増やすかたわら、草月流いけばな作家としても本格始動。事業経営と作家活動を両立する。「いけばなをやっているからこそ、お客様の要望に応えることができる」と語り、今では都内から駆けつける顧客もいる。ホテルのロビーや企業ビルなどの大空間を彩るダイナミックな作品は見る者を圧倒する。「花はいけたら人になる」とは草月流初代家元の言葉。人の心を動かす作品を創造するため、高みを目指して進み続ける。

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