葉山ビーチレスリングクラブを立ち上げた
田中幸太郎さん
葉山町在住　32歳

歩んだ道が未来に繋がる

　○…日本初となる「ビーチレスリングクラブ」を立ち上げ、４月から始動する。五輪を目指すトップ選手として活躍後、葉山の自然のなかで子どもたちと接する異色の経歴だからこそ、たどり着いた挑戦だ。「自然もスポーツも自分を知り、高め、成長させてくれるもの。楽しみながら大切なものを育んでいきたい」と語る。

　○…京都府出身。小学４年生でレスリングを始めた。うそやごまかしの利かない１対１の勝負。強くなるために練習を積み、勝った嬉しさでのめり込んだ。インターハイで優勝し、早稲田大学に進学。卒業後は企業で働きながら五輪出場を目指したものの、怪我に苦しみ夢の舞台には届かった。27歳で引退した。

　○…大学を卒業してすぐに母を亡くした。「幸せについてすごく考えた。健康な体と精神、そして自然の中で美しさや楽しさを感じられることが大切なんじゃないかと思い至った」。教職課程を履修しており、引退後は教師になることも考えた。ただ海外で多様な人々と交流し、より本質的なものに惹かれて横浜の自然保育団体で働いた。その縁で４年前に認定ＮＰＯ法人オーシャンファミリーの一員になり、子どもたちの遊びと学びをサポートする。

　○…しのぎを削る勝負の世界と、自然の中で子どもたちに接する経験。知人から「レスリング教室をやってほしい」と言われ「ビーチでやろう」とひらめいた。５年後のロス五輪で女子ビーチレスリングが正式種目になる機運も高まっており、「葉山から盛り上げていきたい」。家庭では２人の幼子を育てるパパでもある。「丈夫なココロとカラダで自然とつながっていれば、何かあってもきっと大丈夫」。子どもたちとともに新たなピリオドの一歩を踏み出す。