高校生が誰かのために作ったお弁当とその思いを表現する「第8回お弁当甲子園」で、日本大学藤沢高校2年の若林花音(かのん)さん(16)が優秀賞を受賞した。作品は近所で一人暮らしをする祖母のために作った「親子代々うめ弁当」。祖母から母へ受け継がれた梅干しを生かした着想が、審査委員から好評を得た。
お弁当甲子園は鎌倉女子大学と高校生新聞の主催。「私から〇〇へ、○○弁当」というお題のもと、お弁当の献立や写真と共に300字以内のメッセージをつづって応募する。7月から9月にかけて募集され、全国から207校5278作品の応募があった。
書類審査などを経て10月20日、同大大船キャンパスで表彰式があり、最優秀賞、優秀賞など18人、6校が表彰された。審査委員は同大の吉田啓子教授をはじめ、特別審査委員はNHK『サラメシ』で「お弁当ハンター」として取材する写真家の阿部了さんと妻でライターの直美さんが務めた。
若林さんは家庭部で部員34人をまとめる部長。部活動で昨年も応募し、父のため栄養にこだわった夏バテ防止の弁当を出品したが受賞に至らず。今年は「おばあんちゃんのために」と思いを込めて祖母から伝わる梅干しを軸にした献立を考案し、優秀賞を手にした。受賞を知った若林さんは、母と祖母に報告。「『すごいね、よかったね』と祖母に言ってもらえた」と笑顔を見せた。
梅に合う「和」テーマ
献立の要となったのは、母が祖母から習って毎年仕込んでいる「真っ赤でしょっぱい梅干し」。梅酢と一緒に炊いたご飯は梅の風味をまとい、ほんのりピンク色に仕上がっている。おかずも梅に合う「和」をテーマに、いわしを叩いてごぼうや人参と合わせて薄く焼いたつみれ、柚子胡椒を混ぜたマヨネーズで焼いた鶏のささみなど、少食になりつつある祖母が食べやすいメニューを心掛けた。
お菓子作りは好きだが「料理はもっと作れるようになりたい」と若林さん。将来は、料理のように「自分も楽しく相手にも喜んでもらえる仕事がしたい」と話した。
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