時短営業飲食店などの協力金支給までの間をつなぐ独自融資事業を仕掛けたほか、市民に事業者支援を促す前売りチケットや県外への通販展開など様々な支援策を打ち出している藤沢商工会議所。緊急事態宣言の延長が決まった中、同商議所増田隆之会頭に話を聞いた。増田会頭は宣言の動向に関わらず「支援は考え続ける」などと語った。 (2月3日起稿)
――新たな支援策として県協力金の対象事業者に対する「つなぎ融資」を始めました。
「協力金の受給まで事業者がもたない。まずは事業を『つなぐ』ための融資が必要だと考えました。憂いを断ち、継続につなげてほしいと思います。事業主の声を聞いている職員の発案で始まり、リスクも視野に入れた上で、理解ある市や、決断力のある地元かながわ信用金庫との協力で、ごく短期で実現させることができました。商工会議所が市と一緒になって独自の融資をするというのは珍しいことだと思います」
――今、必要な施策であることに加え、その後も見越したプランだと聞きました。
「皆さんの協力で生まれたこのつなぎ融資は、今後災害などで経済活動がままならない時にも使えると考えています。有事にその都度考えていると大変で時間もかかる。今の危機を通して生まれたこのパッケージを次の備えにしていくことも考えています」
――2回目の緊急事態宣言下、管内の事業者の状況は。
「経営相談が今までで2200件も来ていることが大変さを示しています。雇用の維持をしなければならないところはより深刻です。時短要請を受けている飲食店以外の地域の事業者も売上げががくんと落ちています。市民にとって街の中の商店街は個性ある様々なお店が楽しめる場所。それが失われていくことは『まち』が壊れることと同じです。また、各事業者の貴重な個性、技術が子や弟子に受け継がれないというのも大損失だと考えています」
――サービス・小売業に注目が集まりがちですが、製造業が苦境と聞きました。
「経済活動が停滞する中、多くの雇用を抱えるケースも多い製造業の皆さんの声が届いています。コロナ禍の影響はもちろんですが、そもそも藤沢市が抱えていた課題が顕在化したとも考えています。これまで観光業や商業が栄え、工場もあり、人口が増えるなどバランスの良い街と言われていますが、実は製造業にとっては必ずしも住みやすい街と言えないところもあります。隣接する住宅地の問題、敷地内緑化の課題など他市に比べ規制が厳しいところがあり、コロナ禍とともに事業者の悩みの種になっている。他市との誘致競争がある中、放置すれば企業の流出も実際にありえます。ぜひ市には今後の街づくりに向けて、改めて製造業の発展や新規参入しやすい環境を考えた将来像を示している『藤沢市産業振興計画』のさらなる充実、検証について提案をしていきたいと考えています」
――宣言が延長された今後の展開は。
「緊急事態宣言関係なく厳しさは続きます。支援は必要とされているので続けていきます。取り組みの1つとしては、行政とのパイプも活用しながら、皆さんの強味を生かして助け合えるネットワークを作ることを考えています。当商工会議所には商業、工業、農業、水産業、製造業、金融業など様々な分野が集まっています。例えば、水産業が厳しければ、観光業と商業が合わせてイベントを仕掛ける、また農業が厳しければ販路として地元商業が取り扱う。そして、雇用維持が今厳しければ、人手不足の業種に出向してもらうというのもアイデアです。3500会員のスケールメリットを生かしてそんなネットワークを作りたいと思います。これは、先のつなぎ融資同様、災害時などの危機にも大きな力を発揮すると思います」
――市民へのメッセージを。
「事業者の皆様は危機に瀕していると思います。商工会議所としては、市や様々な方々と協力してあきらめずに、何ができるのか、何をやるべきか、考えていきます。そして、会員、非会員問わず目に見える形で今後も支援に動いていきます。また、今の支援の経験は、今後の備えにもなります。これを機に仕組みを整えていきたいと思います。経営相談では、優秀な職員たちとともに、皆さんの話をよく聞き、エールになる、少しでも元気になる対応を進めていきたいと思います。市民の皆様も引き続き応援をよろしくお願い致します」
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