東日本大震災からちょうど10年。未曾有の大災害が突きつけたひとつが、「想定外」に対する備えだった。自助・共助・公助のうち、とりわけ「自・共」の大切さが説かれて久しいが、コロナという厄災も重なる中、今後3助のあり方はどうあるべきか。都市防災の専門家に聞いた。
――東日本大震災で得た教訓について。
「やはり想定外の災害に対する備えに尽きる。災害が起きる前に自分たちができることをすることで被害を防ぐ。これこそが防災の意義だ。同時に実際に被災したとき身を守るためには、知識としての防災だけでなく、災害に直面したときに自らどういう行動をとるべきか考える『判断能力』を養うことも重要だ。例えば津波浸水想定区域外に居住しているからといってそこが安全とは限らないというのは震災で得た一番大きな教訓でもある」
――いわゆる「3助」のあり方をどう思うか。
「命を担保する手段として自助と共助は確かに必要だ。だが、震災後10年を経て、公助が本来果たすべき役割が見失われている気がする。行政が定義する公助は『市民がまず身を守り、公助ができないことを手伝う』ということが多い。だが、実際のところ自助と共助にできることは限定的だ。むしろ本質的に被害を低減させるためは、税金を預かる公助にしかできないことが山のようにある」
――具体的には。
「例えば避難場所や避難路の整備、災害に強い都市計画の見直しなどだ。本質的なリスク低減のためには、市民が住む地域を長期的に災害に対応できる構造に作り替える必要がある。そうした観点からアプローチできるのは行政だけだが、藤沢市を含めて今の自治体が計画的に取り組んでいるか疑問だ。都市構造から問題点を洗い出し、計画的に取り組む公助の役割を今一度見直してほしい」
――自助と共助に関して必要だと思うことは。
「まずはできる身近なことからやってみることだ。例えば私は辻堂地区で『防災まちあるき』というプログラムを実践してきたが、被害想定によらず自分の感覚で居住地域の危険箇所を体感すると、避難経路が自分の感覚として落とし込める。それに自助でも公助でもなく近所同士ですべきこともある。自助、共助、公助。誰が何をすべきか、その役割を予め把握するのが、防災への一歩だ」
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