いくつになっても美しく、自分らしく――。辻堂東海岸在住の横須亜希子さん(40)が、藤沢市の縁側事業と連携し、介護が必要な人にメイクなどを施す「介護美容」の技術を使った活動に取り組んでいる。自宅にこもりがちな高齢者や障害者におしゃれを通じて元気を届けようというもので、事業を推進する市も「高齢者の生きがい作りのきっかけになる」と期待を寄せている。
5日、藤沢の地域交流サロン「地域の縁側 ゆくり庵」で開催された介護美容体験会。横須さんが利用者の小林みち子さん(73)の爪をやすりで整え、色を乗せていくと30分ほどかけて作業は完了。小林さんは「マニキュアなんて何十年ぶり。若返った気分」と表情をほころばせた。
介護美容は、介護を必要とする高齢者や障害者らに対する美容技術。衛生面や健康維持に加え、「心の栄養」を生むとして介護の現場で導入するケースが増えている。国家資格などはないが、施術者は高齢者の体質や介護の知識などを学んで施術にあたる。
横須さんは3人の子育ての傍らで、SNSで介護美容の存在を知り、都内の専門学校に入学。学ぶうちに高齢者の笑顔にやりがいを感じるようになったという。
「最初は恥ずかしがる人が多いが、メイク中に皆みるみる表情が明るくなる。知名度は低いが、施設からリピートの声は多い」と横須さん。市内でイベントをしたいと市役所に相談に訪れ、体験会が実現した。
縁側事業に風を
10月に開催された一回目の体験会は初日で予約満杯に。次回開催や他施設からの実施要望も多く「思った以上の反響に手応えを感じた」と横須さんは喜ぶ。
事業を担当した市地域共生社会推進室は「世代問わない交流が縁側の理想形。横須さんのような新しい風が地域に元気を与えるきっかけになる」と期待を寄せた。
|
<PR>
藤沢版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|