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藤沢 社会

公開日:2022.05.06

獺郷の「さんかく農園」
「誰もが体験できる」農園
投げ銭型、短時間、一組交代制

 全国的に取り組みが進む「共生社会」「インクルーシブ(誰も取り残さない)」の視点を持つ農園が獺郷にある。農作業体験に特化した「さんかく農園」だ。「経済状況に応じて顧客が支払い金額を決める」「短時間」「農家一人対顧客一組」といった特徴的なシステムで、「誰もが体験できる農園」の実現に取り組む。代表の柳下貴士さん(27)=寒川町=は「経済的に困窮している人や障害がある人も農業に触れ、皆が社会問題を意識するきっかけにしてほしい」と話す。

 市内北部の通りを一本入ると、見えてくる「さんかく農園」(獺郷1191)の看板。小高い土地に約3500平方メートルの畑が広がる。手作りの棚と棚の間隔は通常よりも広く開け、休憩できるウッドデッキやたき火台、介助用のマットも設置。「車いすでも通れ、少しでも土に近いところに座って作業できるように」。理学療法士としての一面も持つ代表の柳下さんの視点を反映させている。

 「体験型」に特化した農園の一番の特徴は、体験と野菜の持ち帰りまで含めた料金を、顧客側が経済状況に応じて「1千円〜5万円」に決める「スライディングスケール方式」を採用している点だ。また、一般的に農業体験は一日がかりで大人数が参加するイベント型のものが多い中、ここでは、「30分〜60分の短時間」、「農家一人対一組の少人数の交代制」に設定している。

経済困窮者、障害者も

 今年1月に開園し、これまでに計100人ほどが来場。親子連れや、SNSを通じて知った20〜30代などが、レタスやラディッシュ、スナップエンドウの収穫や野菜の種まきを体験。ある来場者からは「障害のある子どもを外に連れ出すことができ、土に座ることができるのがうれしい」といった声が聞かれる。

 代表の柳下さんは、理学療法士として障害児の通所施設などに勤務し、現在も月1回勤務を続けている。ボランティアやパーマカルチャー(永続可能な農業文化)を学び、「人生をかけて、社会課題を解決するアイデアを実践したい」と、2020年9月から市内の有機農家で1年間研修を受け、今年1月から体験農園の営業を開始した。

 同園では現在、寄付型のクラウドファンディングやマンスリーサポーターを募集して活動を続けている。

 詳細や問い合わせは【URL】https://sankaku-noen.square.site/。

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