10月27日から11月9日は「読書週間」。先日記者は取材先で、視覚障害のある男性から「いつも楽しく読んでいるよ」と声を掛けられた。どうやら湘南台にある藤沢市点字図書館で情報を得ているとのこと。早速現地へ向かい、話を聞いた。
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案内してくれたのは、同館の倉田岳(がく)さん。点字図書館は藤沢のほか、横浜、川崎、相模原、横須賀の県内5カ所にあり、電話で貸し出し受付を行い、郵送することで、利用者は来館せずに図書を受け取ることができる仕組みだという。同館には点字図書が約2220タイトル、文章が音声として収録されているカセットテープ図書と音声デイジー図書が計6400タイトル蔵書されている。音声デイジー図書は、音声データを30時間分収められるCD-ROMを使用した図書で、再生には専用機器が必要になる。
この形態で本紙も蔵書。毎週、図書館ボランティアによる「音訳」と呼ばれる収録作業を経て、貸し出されている。「音訳は朗読とは違う」と倉田さん。読み方次第で利用者の読後感を左右しないよう、感情を込めずに読み上げる。
また音訳する中で苦慮するのが、人名の読み方だという。「読み方が複数ある漢字の人名はルビをつけてほしい」と指摘を受けた記者は、はっとさせられた。音声版を含む全ての読者の方にとって読みやすい紙面づくりを心掛けていきたい。