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藤沢 人物風土記

公開日:2025.03.07

先月ボランティア表彰を受けた「クリーンザリバーふじさわ」代表
山口 明子さん
湘南台在住

「ぼーっとして生きるな」

 ○…木に引っかかっていた小さなプラスチックごみから始まった。2013年の秋、息子を出産してからしばらく経ち、境川沿い、湘南台・今田の桜並木の下でごみ拾いを開始した。「清掃活動を始める前はお化け屋敷みたいだった」。降雨でごみが下流に流されてしまう前に清掃し、市の有料ごみ袋1万円分を拾った。

 ○…「市に相談すると、ボランティア団体用のごみ袋やトング、手袋を提供してもらえた」。活動を本格化させ、晴れた日は川へ降り、小さなごみから、廃材や、不法投棄された自転車、タイヤなど大きなごみまで回収する。道行く人からは何度も怪しまれたが、ボランティアベストを着て活動を続けた。「境川清掃ボランティアの会ふじさわ」を立ち上げ、18年には「クリーンザリバーふじさわ」に改称。引地川の清掃も担った。

 ○…なぜ12年前、ごみを拾い始めたのか。小学校まで過ごしたイギリスで「ぼーっとして生きるな」と教わった。また留学したカナダの大学では社会貢献の重要性を教わったことが、その行動力につながっている。出身地である福島県を襲った東日本大震災の影響もある。海岸から11Km離れているはずの実家の前に、いくつもの船が流れ着いていた。「海を甘くみてはいけない。川をきれいにして、なるべく海にごみを流さないようにしたい」

 ○…学生や近隣住民、県外の人、「川のファン」などが集い、これまでに約5千人が活動に参加し、会員も5人に増えた。境川では白鷺橋から高鎌橋までの3Km両岸を清掃した。だが一方で、引地川清掃は担い手の不足から活動を休止しており、「いずれ復活させたい」と意気込む。ぼーっとして生きない、挑戦は続く。

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