藤沢 トップニュース経済
公開日:2025.07.11
米屋の苦境、市内でも
供給不安で「入荷なし」 閉店も
昨年から不安定な状態が続く米の供給量。昨夏は5kgあたり2千円台前半だった米の価格が、今は4千円を超える水準で、一部スーパーマーケットでは購入制限も設けられている。そんな中、まちの米屋では、米が入荷しないことなどを理由に店を閉じるケースが全国で散見されている。市内も例外ではなく、小売店では厳しい状況が続いている。
帝国データバンクによると、2024年度の米屋の休廃業は88件となり、2年連続で増加。仕入れ量の確保や仕入れ値の高騰に合わせた価格引き上げの難しさが影響し、業績が悪化したケースが多い。今年度も閉店や廃業、倒産が増加する可能性が高いという。
実際に市内でも、湘南台駅周辺で3月に1店舗が閉店。別店舗でも「米の入荷がなく、在庫がなくなり次第、閉店」といった内容の張り紙が貼られるなど、経営の困難さがうかがえる。
仕入れ量で差
長後で1950年から米屋を営む「丸屋本店」=写真=の店主・諸節英人さんは米の入荷に関して「仕入れ先により差が出ている」と話す。同店は、飲食店や施設などへの販売がほとんどで、1度に仕入れる量も多く、大手問屋との取引でこれまで通り仕入れられているという。
一方で、消費者への販売が中心で、仕入れ量が少ない店舗は、新米が出てくる前で問屋側の在庫が不足するこの時期に、米が回ってこないといったケースもあるという。同店では現在経営などに大きな影響は出てはいないものの、不安定な供給状況から、新規の取引は中止。既存の得意先に販売する量の確保を最優先しているという。
減反、酷暑、輸出増が影響
こうした不安定な需給の背景には、生産量の減少がある。国内では1971年から国による減反政策で主食用米の収穫量が導入前と比べ半減。試験導入前の68年は1445万トンあったが、23年の収穫は660万トンほどとなった。加えて海外での和食ブームで、過去5年間の輸出量は20年に比べて2・3倍の約4万5千トンに。さらに、23年は猛暑や大雨などで全国的に市場に出せないほどに米の品質が低下。「令和の米騒動」の引き金となった。
市農業水産課によると、現在市内の水田は約100ヘクタール、年間の収穫量は500トンほどある。ここ数年で収穫量の大幅な変化はないものの、昨年度の収穫時は暑さの影響で白濁米の増加や、カメムシの発生で斑点米という米が黒くなる現象などが起こった。また、今年も6月から雨が降らず酷暑が続き、昨年同様にカメムシが発生。収穫にも影響を及ぼす可能性が高いという。
JAさがみの担当者は「気候変動による影響は今後も予想され、供給不安は続く可能性が高い」とする。他方、県内では生産者の高齢化もあり、土地の貸し出しなどで次の担い手も出てきているが、「水田はじりじりと減少している状況」と危惧を口にする。
日本人の生活に欠かせない米。国内の需給バランスが簡単に崩れる状況下で、食卓の不安は今後も続きそうだ。
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