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藤沢 人物風土記

公開日:2025.08.01

3年に1度市民会館で公演する「市民シアター第九を唱う会」会長を務める
齋藤 夏紀さん
西俣野在住 63歳

第九の魅力を未来へ

 ○…市民会館休館前、最後の公演。「絶対に成功させたい」と話していた前会長が亡くなったのは今年4月。それまでは事務局長を務めていたが、後を引き継いだ。テノールの一員として参加しながら会の運営を担う中で、責任の重さを感じる日々。それでも胸中には「藤沢から第九の火を消さない」という強い思いがある。

 ○…胎内での酸素不足から、生まれた時から足が不自由だった。幼い頃から杖を使い、20歳から車椅子生活に。思うように動けない学生時代、心の支えになったのは音楽だった。中高では吹奏楽部でトロンボーンを演奏し、クラシック音楽を聴き始めた。「同じ曲でも演奏者によって違うことが新鮮だった」。高校の授業でドイツ語の歌のテストがあり、近所の合唱サークル会員に指導を受けた。好成績を収めたが「ドイツ語のハーモニーに魅せられ、合唱できたらどんなにすごいことだろうと思った」。歌への情熱が芽生えた。

 ○…卒業後は藤沢市役所で事務職として38年間勤めた。現在は精神障害者を支援するNPO法人で働く。若い頃から好きだった曲がベートーヴェンの「第九」。「耳が聞こえなくなる中で人類の平和を考え、作曲した彼の作品に感動した」。いつか歌いたいと考えていた時、同じ職場に勤めていた同会の会員に誘われ入会した。「最初はどこのパートをやるのかも分からない。ドイツ語も全く分からない」という状況。周りは経験者が多く、助言を貰い、動画を見て練習を重ねている。

 ○…「合唱は人間同士が心を通じ合わせ、ハーモニーを作る場」。それはNPO法人で現在携わるカウンセリングの仕事と通じるものがあると感じる。「心を通わせ、相手を大切にできる場を守っていきたい」

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