藤沢 社会
公開日:2025.08.29
藤沢市
「耐震性なし」推計1万戸超
減災・復興視野に対策促す
藤沢市は、大規模地震に備え、市内の住宅耐震化を進めている。住まい暮らし政策課によると、市内全体として現在91・2%が耐震化されており、木造住宅は約7万8千戸のうち約1万2千戸が耐震性がないと推計している。市はおおむね解消させるために啓発などに取り組んでいる。
住宅の耐震は、1950年施行の建築基準法で「震度5で倒壊しない」を目標とした「旧耐震基準」が定められた。しかし、78年に発生した宮城県沖地震では、震度5程度の揺れにもかかわらず、多くの建物が倒壊し、81年の「新耐震基準」(震度6強〜7で倒壊しない基準)に引き上げられた。また、95年の阪神・淡路大震災をきっかけに、新耐震をさらに強化した2000年基準が設けられ、現在も適用されている。
同課の担当者は「家を直せばお金もかかるし、高齢だから地震で自宅が倒壊してもしょうがないと考える市民の声を聞くことがある。ただ住宅の倒壊は個人の問題にとどまらない」と強調する。家屋が倒壊し道路を塞げば、緊急車両の通行を妨げ、救助活動や消火活動が大幅に遅れる。特に津波が予想される沿岸部では、避難の妨げになる可能性もある。大量のがれきが広範囲に散乱すれば、その処理には多額の費用や労力も要する。
こうした事態を未然に防ぐため、市は建物が地震にどの程度耐えられるかを調べる耐震診断に最大6万円を、診断した上で改修が必要な場合は費用の一部(最大90万円)を補助。同課は対象となる住宅の所有者に向け、啓発文書を盆の時期に送付し、制度の周知に努め、毎年15〜20件ほど採択しているという。
同課の担当者は「減災や災害後の復興を視野に補助事業を積極的に活用し、災害に強いまちづくりに協力してほしい」と呼びかけている。
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