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藤沢 文化

公開日:2025.08.29

「どんな人の人生も面白い」
手帳類図書室 湘南台分室が開室

  • 手帳類の入った棚を見つめるナオエダさん(上)、手帳類の一例(下)

 愚痴が延々と書かれたノート、恋人との日々を綴った日記、家計簿、闘病記録、仕事のメモ――。これら他人に見られるために書かれてはいないものを総称して「手帳類」と呼ぶ。その手帳類を手に取り、読むことができるスペース「手帳類図書室 湘南台分室」が湘南台駅西口に開室された。

 手帳類図書室とは、寄贈された他人の手帳類を、料金を支払い一定の時間読むことができるスペース。本室は渋谷区にあり、収集家・志良堂正史さんが集めた約400冊が収められておりコレクションの一部をセレクトして置いている。

 その活動に魅了され、湘南台に分室を開いたのがナオエダカナコさん。元は本室の利用者で、志良堂さんのコレクションの一部を貸与された。

 他人の手帳類の魅力を「全く違う人の思考を疑似体験できる」とナオエダさんは語る。「自分とは違う価値観の人や異なる職業の人の内面を見るというのは他ではできない」。家計簿に記された物価から時代の移り変わりを見るなど、昔を懐かしむこともできる。恋愛や仕事の話が赤裸々に書かれたものを読み「見てはいけないものを見てしまった感じ」という感想を述べた来館者もいた。

 「黒歴史」とも言えるライフログを寄贈する人の心理とは何か。寄贈したことがあるナオエダさんは「例えば日記が遺されたとして、家族に読まれたくはないが、捨てるには忍びない」という気持ちがあったと話す。

 開室は木・金・土曜。カタログから選び、平日90分、土曜は60分間読むことができる。1回1100円。現在所蔵されている手帳類はどれも匿名で、カタログには内容から推察できる属性が記されている。「どんな人生も等しく面白い」とナオエダさん。「他人の人生に触れ、その自由さに気持ちが楽になっていく。そんな場所にしたい」

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