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藤沢 人物風土記

公開日:2025.09.05

伝説の試合のレフェリーを務めた「湘南格闘クラブ」の会長を務める
岡林 章さん
平塚市在住 63歳

「小さな成功体験から」

 ○…「なんだ、いま負けたんじゃないのか」。いぶし銀のような威厳と精悍さを帯びた表情から一変、柔和な笑みを浮かべながら手押し相撲を見守る。子どもたちへの愛情が伝わってくる。25年ほど前に平塚に、その後藤沢にジムを構えた。「強い心」「優しい心」「親切な心」を養うことを掲げ、技術はもちろん何よりも人間性を重んじる姿勢を崩さない。

 ○…平塚市の出身。小学5年の頃にプールへ行くと、父親が習っていた柔道の指導者にたまたま出会った。「君も道場に来なさい」。魂がぶつかり合う迫力と臨場感に魅了され、中学まで柔道と少林寺拳法、高校に進学後は空手に励んだ。ホテルマンとして働いた時期もあったが格闘技は続けたため、肋骨のけがなどで「仕事に集中できない」と退職。指圧の試験合格を目指した。アルバイトをしていた飲食店の上階にキックボクシングジムができ、20台前半に門を叩いた。競技にどっぷりハマり、プロ12戦を経験。そんな折、母親が末期がんに。看病のため引退し、地元へ戻った。

 ○…治療院に勤務する傍ら、30を過ぎてから当時少なかったプロ格闘技のレフェリーを頼まれた。「”ワァー”と地響きのような歓声だった」。21年前の大みそかを反すうする。「反逆のカリスマ」対「神の子」の名勝負の前日、白羽の矢が立った。大阪ドームに集まった5万人超のまなざしを一身に浴びながらも、感情に左右されず公平に選手を裁いた。

 ○…秋には、チャリティーキックボクシング大会も開催。満身創痍で疲れ切った選手の労を称える。指導の極意は「褒める」こと。緊張や恐怖を乗り越えられるよう背中を押す。「人は変われる。小さな成功体験を重ねた先に、大きな夢をつかむチャンスが訪れる」

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