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公開日:2025.09.26

手話の未来開く、希望の道筋
県聴覚障害者連盟 河原理事長インタビュー

  • 青色にライトアップされた江の島シーキャンドル=23日夜

  • 本紙の取材に応じる河原さん

 手話言語への意識を高めようと国連が定めた9月23日の「手話言語の国際デー」には、世界ろう連盟のロゴの色で、世界平和を表す青色にライトアップする動きが世界各地で広がっている。江の島でも催しがあった。今年6月には「手話施策推進法」が施行され、11月には「デフリンピック」も控えている。長年、手話言語の重要性を訴えてきた全日本ろうあ連盟の副理事長で、神奈川県聴覚障害者連盟の理事長を務める河原雅浩さん(64)に、手話が当たり前にある社会の実現に向けた思いなどを聞いた。

法施行、デフリンピックで注目

 ――手話の習得や利用、文化の継承を促進する手話施策推進法が施行されました。

 「全日本ろうあ連盟では15年ほど前から『手話は言語の一つ』と定める法律の制定を目指していました。しかし国に法律を作ってもらうのは困難。まずは一般の人に周知するため、学習会を開いたり、チラシを配ったり、また地方公共団体に手話言語の条例を作ってもらうことから始めました。全国各地の議員に働きかけ、議会から意見書を出してもらう取り組みなどで、こうした動きは国も無視することはできないと思いまして」

 ――かつて日本のろう学校では手話が禁じられていたと聞きます。

 「口の動きから言葉を理解する『口話法』を習得する妨げになるとされ、ろう学校から健常者が通う学校へ行くことを良しとする風潮がありました。私自身も小学4年から健常者が通う学校に行きましたが、学校生活についていけず、ろう学校に戻る人もいました」

 ――河原さんはいつ手話を習得したのですか。

 「大学のサークルで覚え、社会人になってから使い始めました。口話とは違い、手話は身ぶりや顔の表情など感情豊かに表現でき、何より楽に意思疎通が可能であることを知りました。耳が聞こえない人にとって自然な言語だと思う人は私だけでなかった。これまで障害者にまつわる法はありましたが、手話を普及させる具体的な環境整備のため、有志と手話言語の法制定を目指しました」

 ――手話を教育現場へ取り入れるためには。

 「手話の有効性は認識されつつある一方、不得意な教員は多い。ろう学校の同僚や耳が聞こえない子どもから教わる教員もいる。また、地域のサークルに通うなど手話能力は個人の努力によります。コミュニケーションが成り立たなければ学力は向上しません。研修、習得、そして現場へ落とし込む体制を築かなければならず、それには行政の支援が必要。国語も手話も同じ。子どもたちが大きくなった時に手話でできることが多くなる社会になれば」

 ――もうすぐデフリンピックが始まりますね。

 「耳が聞こえない人は見た目では分かりません。でも現に社会生活を送っています。選手らがどう交流しているのか、障害の有無に関係なく一緒に暮らしていくには何が必要か。国民が見て感じ、手話言語の機運醸成につながってほしい」

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