東日本大震災を受け、30年前の台湾の留学生から、日本への応援メッセージが届いた。受け取ったのは市内佐助在住の杉本つとむさん(85)。以前、早稲田大学で教鞭をとっており、留学生に日本語も教えていた縁からだ。杉本さんはメッセージについて、「人としての温かさを感じた。日本を応援している台湾の人がいることを多くの人に知ってほしい」と話している。
杉本さんに応援メッセージを送ったのは、台湾の輔仁大学日本語学科2年の学生約40人と、その指導教師の呉美慧さん。呉さんは、このメッセージを被災者に届けたいとして、留学当時の恩師に託した。内容は、すべて日本語で記されている。
呉さんは、日本人と被災者たちに何ができるのかを学生と熱心に話し合った結果、学生としてできることとして「応援の手紙を書いて日本に送り、被災者を励まそう」ということになったと、今回の経緯を説明している。
また、日本語学科の学生にとって、「この甚大な災害は『隣の国』に起きたものでなく『親しい親類』が遭った不幸として、他の専攻の学生よりもっと身近に感じられたに違いない」と挨拶文に記している。
切実な祈願として「気持ちを一杯載せた文を読んだ日本の方々が、少しでも苦しみを癒し、心を温め、一番大変な時期を乗り越えていく勇気を出せたならば、どんなにか幸いなことであろう」と寄せた。
学生のメッセージには、顔写真とともに「日本は絶対大丈夫」「日本は、一人ではありません」「日本語学科の私にとって、日本のことは私のことみたいです」「一緒に美しい将来を抱擁する」など、日本への思いが寄せられている。
このメッセージ集が杉本さんに届いたのは4月中旬。震災発生直後には、安否を心配した呉さんから、約30年ぶりに電話があったという。「とても義理堅い。素直にうれしかった。この台湾の学生からのメッセージを広く伝えたい」と杉本さんは話す。
杉本さんは、早大名誉教授で、オーストラリア国立大ANUやモスクワ大の招聘教授、オランダ・ライデン国立大研究員、北京日本学研究センター講師など、海外で日本語学の指導にあたってきた。定年後の現在も研究は続けており、江戸期の日本文化や外国語と日本語の対照に明るい。
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