2010年10月に市に寄付された鎌倉山1丁目の「(仮称)扇湖山荘(旧鎌倉園)」の庭園維持管理に、鎌倉造園界(川㞍祐治会長)が協力することがこのほど決まった。今月18日には同山荘で松尾崇鎌倉市長出席のもと、造園界と協定書が取り交わされた。今後、造園界が庭木・生垣の剪定など、専門技術を要する維持管理を担うことになる。
(仮称)扇湖山荘の庭園は、京都の高名な造園家、七代小川治兵衛によるものとされており、鎌倉造園界では、「有名な庭師による庭園。そのままにしておくのはもったいない。協力することで後進の育成になれば」と話す。
庭園の維持管理にかかる費用は造園界が負担する。年間1千万円から1500万円程度と見込む。
今回の庭園維持への協力について市は、一昨年10月に同山荘が(株)三菱東京UFJ銀行から寄付された直後から、造園界に協力を要請していたという。これを受けて造園界では、日本の伝統的な庭園文化の継承、若手職人の育成に活用しようと協力を決めた。
同庭園を手がけたとされる小川治兵衛は、日本造園界のリーダー的存在。造園界の事務局を務める津田一郎さんは「ここの庭園はとても魅力がある」と話した。松村邦男副会長は「まずは松の剪定、整備を行いたい」と抱負を語る。
同造園界は現在68会員。毎年10月の市緑化まつりでは、鶴岡八幡宮の馬場で、メンバーが腕によりをかけた庭園の展示会を開催している。
(仮称)扇湖山荘は、戦前の和風文化を伝える大型遺構とされており、土地面積は約2万3400平方メートル(公簿面積)。外周は緑地で囲われ、内側に本館をはじめ茶室などの建物がある。
市に寄付された後は、市職員および委託した民間業者が建物と庭園の維持管理を行ってきた。
市景観部では、今後の活用について民間の活用などを含め検討しているが、公開する時期は未定という。
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