鎌倉 トップニュース文化
公開日:2013.11.01
絵本作家やなせさん
「最後のメッセージ」話題に
地元出版社の季刊誌に遺作
10月13日に94歳でこの世を去った漫画家で絵本作家のやなせたかしさんが責任編集を務めていた季刊誌「詩とファンタジー」の最新号が10月19日に発売された。同号にやなせさんの「遺言」とも読める詩とイラスト3編が掲載されたことから、各種メディアで取り上げられ話題となっている。出版元である(株)かまくら春秋社(市内小町)の山本太平さんに話を聞いた。
「いつもこれが最後とおもって書いています」から始まる編集前詩、目次を挟んでチャップリンを題材にした「チャーリー」、イラストに死神が登場する「天命」-。「詩とファンタジー」の最新号となる第24号にはいずれも自らの死を思わせる3編の詩とイラストが掲載された。同号の発行が訃報の直後だったことから、各種メディアが「やなせさんの遺言」として紹介するなど大きな反響を呼んだ。
しかし山本さんは「今回の作品が『遺言』だと言うのは少し違う気がする」と話す。やなせさんの詩は約1年前から死期の近さを匂わせる作品が多くなっていた。「自らの最期を感じながら今の気持ちに向き合い、とにかくそれを伝えたい、という思いがあったのでは。3作品ともユーモアがあり、やなせ先生らしいな、と思う」と語る。同号最終ページの「表詩記」では「また次号でひとくろうすることになる」と今後への意欲をにじませていた。
先の3編の原稿が完成したと編集部に連絡が入ったのは9月6日。3日後に山本さんが原稿を取りに行ったものの、8月下旬から入院していたやなせさんとは会えなかったという。編集部が訃報を知ったのは報道を通じて。「先生が居なくなることが信じられず、ただただ頭が真っ白だった」とショックを語る。
詩への熱い思い
かまくら春秋社とやなせさんの出会いは、同社が建長寺で行っている土曜朗読会に特別ゲストとして招いたことがきっかけだった。
「アンパンマン」の生みの親として親しまれているやなせさんは詩人としての著作も多く、30年にわたり「詩とメルヘン」(サンリオ刊)の編集長を務めていた。しかし同誌は2003年に休刊。読者からの復刊要望が多かったため、07年にかまくら春秋社から新たな投稿誌「詩とファンタジー」を発行することになった。創刊時、88歳と高齢だったやなせさんは特集の企画出しなど根幹部のみに携わり、編集は同社が担当した。
投稿詩へのやなせさんの講評は辛口だが温かみがあり、その一言をもらうために投稿する読者も多かったという。山本さんは「思いを分かりやすい言葉で伝える叙情詩を大切にしていた。今後の発行は未定だが、先生が『詩とファンタジー』を創刊した思いは引き継がなければ」と語った。
次号は「やなせたかし特集」
やなせさんの訃報を受け、毎年行っている投稿詩の年間大賞は今回で終了する。次号は「やなせたかし特集」を企画。山本さんは「先生がまだ雑誌の中で生きている感じがする。不在を受け止めるのはもう少し先になりそうだ」と話した。
問【電話】0467・25・2864かまくら春秋社
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