JR北鎌倉駅周辺の約60店が加盟する北鎌倉商栄会(関本敏子会長)はこのほど、県道21号線周辺に防犯カメラとAED(=自動体外式除細動器)を設置し、街路灯のLED化を行った。国の助成制度を利用した事業だが、申請にあたっては町内会や警察がバックアップした。関本会長は「地域が一体となって、安心・安全な街への第一歩を踏み出せた」と話す。
同商店街は今年4月から5月にかけて、北鎌倉駅周辺の県道21号線沿いに防犯カメラ9台、AED8台の設置と街路灯20本のLED化を実施した。
理由について関本会長は「北鎌倉には多くの観光客が訪れるが、休日の県道21号線は渋滞がひどく救急車の通行もままならないため、いざという時のためにAEDが必要だと感じていた。また、防犯カメラは犯罪抑止だけでなく、交通事故や高齢者の徘徊といった事態にも活用できると考えた」と話す。
そこで検討したのが、国の補助金制度で費用の3分の2が助成される「商店街まちづくり事業」の利用。しかし工事が行われてから補助金が下りるまで、数百万円もの費用を立て替える必要があることが分かった。「商栄会ではそれだけの資金を用意できないため、当初は諦めていた」と関本会長は振り返る。
地域の連携プレー
ここで助け舟を出したのが、北鎌倉山ノ内地区町内会協議会(辻政治会長)だ。商店街のプランを聞き、建設資金の立て替えを申し出た。辻会長は「幸いなことに積立金に余裕があった。地域の安心・安全のために商栄会さんが立ち上がろうとしていたので、町内会としても応援したかった」という。
さらに一級建築士の女性からボランティアで必要な書類を作成する申し出があったこともあり、補助金の申請を決意。今年3月、交付決定通知が届いた。
防犯カメラの設置場所については山ノ内交番の警察官にも相談。プライバシーを気にする声も多かったことから、警察から要請があった場合にのみ映像を提供することに決めた。
関本さんは「商栄会だけでは絶対に出来なかった。町内会や警察、書類作成を手伝ってくれた地域の方など、多くの協力があったからこそ」と話す。
警察から表彰
こうした取り組みが評価され、同商店街は5月22日、大船防犯連合協会の総会で防犯功労団体表彰を受けた。大船警察署生活安全課は「神奈川県では現在、防犯カメラの普及を促進しているが、費用の課題が大きくなかなか進まないのが実情。今回の事例がモデルケースとなり、広がってくれれば」と話した。
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