かつて国内最大規模の威容を誇りながら、600年以上前に焼失し、「幻の寺院」とも言われる永福寺(ようふくじ)。同寺跡(二階堂215)で市が行ってきた整備工事がこのほど完了した。
永福寺は奥州合戦で亡くなった将兵の鎮魂のため源頼朝によって建立され、1194年までに完成した。絵図などは残っておらず外観など詳細は分からないものの、当時の旅日記には「姿かたちは極楽の様子をそのまま表したようだ」と形容されている。
1983年から96年にかけて行われた発掘調査により、当時、国内有数の規模を持つ寺院だったことが判明した。
頼朝の没後は境内で歴代将軍たちが蹴鞠や酒宴など華やかな行事を行い、幕府の迎賓館としての役割を担っていたが、1405年12月、火災で主要な建物が焼失。その後しばらくして記録が途絶えたため、再建はされずに廃絶したと考えられている。
市は2007年以降、同寺跡地の整備工事に着手し、これまでに建物の中心となる二階堂と阿弥陀堂、薬師堂の基壇(基礎)のほか、池も鎌倉時代の地層を保護しながら再現した。木材や石材は、調査で判明した同じ材質のものを使用しているという。
7月17日(月・祝)には現地説明会が開催される。時間は午後2時から3時30分まで。雨天中止。
当日は市教育委員会文化財課職員による現地案内のほか、湘南工科大学の協力のもと専用機器を使って想定復元した永福寺を見ることができる「VR映像視聴体験」も行われる。
参加は自由。現地には駐車場がないため、公共交通機関の利用を呼びかけている。JR鎌倉駅東口から京急バス4番乗り場「鎌20大塔宮行き」を利用し終点の大塔宮で下車後、瑞泉寺方面へ徒歩約5分。
問い合わせは市教育委員会文化財課【電話】0467・61・3857へ。
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