地域住民の集会や習い事の稽古場などとして利用されてきた材木座公会堂が、8月で開設100周年を迎えた。(一社)材木座自治連合会(渡辺英昭会長)はこれを記念し、地域の歴史や文化などをまとめた『材木座郷土誌』(齋藤彰編集長=今号人物風土記)を出版。このほど同連合会の全世帯2千戸超に配布した。
材木座公会堂は1918年、九品寺そばに建てられた。開設にあたっては町会議員や区長ら8人が発起人となり、333人から当時のお金で5400円を超える寄付金が集まったという。
「寄付者の芳名板が残っているが、額は50銭から300円までさまざま。貧富の差は関係なく、町民全体で協力しようという気持ちが伝わってくる」と渡辺会長は話す。
以後、修繕などを施しながら、現在に至るまで自治会の集会のほか書道教室や夏休みの学習会、選挙時の投票所などとして利用されている。
関東大震災の時も建物の損害は軽く、被災者の救援や復興支援の拠点となったほか、戦時中は出征兵士の見送りや物資配給の場としても活用されたという。
有志制作の2冊を再編
公会堂の設立100年を記念し、郷土誌を刊行しようという話が持ち上がったのは昨年6月。材木座では2010年と15年にも、地域有志による郷土誌が作成されているが、この時は簡易的な印刷だったため「1冊に再編することで郷土愛を深めるきっかけにしてもらおうと考えた」(齋藤編集長)という。
以来約1年をかけて渡辺会長、齋藤編集長をはじめ7人の編集委員が「原稿はなるべく元のものを生かす」「写真はより鮮明で新しいものに」などの方針のもと、地元出版社・(株)冬花社と再編作業を行ってきた。
こうして完成した書籍はA5版292ページ。歴史から子どもの遊びまで、5章41項目にわたり紹介している。公会堂設立の寄付者名が記載された表板の写し書きも掲載されている。
連合会ではこのほど、全世帯2千戸超に配布。島森書店、たらば書房、松林堂書店のほか、ウェブサイトのアマゾンでも購入できる。「地元の方には懐かしく、移り住んできた方には地域を知るための1冊になったのでは」と齋藤編集長は話していた。
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