江ノ電・稲村ヶ崎駅前で60年近く営業してきた老舗スーパー跡地が6月23日、コミュニティスペースとして新たなスタートを切った。手掛けたのは地元で暮らし、働く夫妻。クラウドファンディングでの資金調達にも挑戦し、ボルダリングも楽しめる「地元住民の交流の場」として生まれ変わらせた。
生鮮食品や生活雑貨を扱う「スーパー今市」は、56年前から現在の場所で営業をしてきた。かつては腰越で網元や鮮魚店を営むなど、業態を変えながら続いてきた老舗で、代表の今子博之さんは18代目だ。
だが、近年は売り上げが低迷。そのため、昨秋、商品や灯油の宅配など「御用聞き」は続けるものの、店舗での販売を大幅に縮小することを決めたという。
その話を聞き、一念発起したのが、極楽寺在住で稲村ガ崎の聖路加幼稚園に勤める河井めぐみさん=人物風土記で紹介=だった。「『今市』は単に買い物をするだけでなく、地域住民の交流の場でもあったので、何とか残せないかと思った」
場所貸しで運営
職場の幼稚園の保護者らに活用方法についてヒアリングをするなどし、造園業を営む夫・亜一郎さんと共にコンセプトや運営方法などを探った結果、行きついたのがサークルや住民が、習い事の練習などに使える「レンタルスペース」として運営することだった。
今子代表は「コンビニなどから問い合わせもあったが、河井さんが『地域のために』と言ってくれたので」と、夫妻に店舗を貸し出すことを決定。
こうして「コミュニティスペースIMAICHI」が6月23日、オープンした。
約40平方メートルのスペースは、運動や音楽のスクールなどに貸し出し、予約がない時間は150円で、自由に利用ができるようにした。また店舗を入ってすぐのスペースには、地域の人が気軽に「世間話」をしたり、軽食をとれるテーブル席を用意した。
ボルダリングも
さらに壁を有効活用し、近年人気のスポーツ「ボルダリング」用のホールドを設置。幼児は200円から、大人は1千円で利用できる。
約300万円の設置費用のうち、100万円は4〜6月にかけてクラウドファンディングで募った。支援者の多くは地元の人や店舗の関係者。「とにかく何とかしたいという思いだけでやってきた。地域の方に支えていただいて本当にありがたい」と夫妻は振り返る。
レンタルの予約はまだ少ないが、通りすがりに覗く人や週末に訪れる親子連れなど、興味を持っている人も多いという。「稲村ガ崎に限らず、市内の人にも利用してもらえたら」と話している。
問い合わせは【電話】0467・40・4865、【FAX】0467・40・4224へ。
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