鎌倉市教育委員会はこのほど、紙本著色善光寺縁起絵巻(英勝寺所有)など3件を2019年度の鎌倉市指定文化財に指定すると発表した。また、すでに指定されている木造阿弥陀如来立像(蓮乗院所有)の両脇侍のうち右脇侍立像を追加指定した。
今回で、市指定文化財は328件になり、市内の指定文化財は国宝が15件、国指定重要文化財等が201件、県指定重要文化財等が66件で合計610件となった。
善光寺縁起絵巻
644年創建とされる長野県の善光寺と本尊である阿弥陀三尊像の由来を語る縁起として、巻き物の形式で現存する唯一の作例。所有する英勝寺(扇ガ谷)の宝物帳には、徳川家康の孫で高松藩主の松平頼重による奉納の記録があり、17世紀に製作されたとされる。
八坂大神文書
扇ガ谷の八坂大神に伝わる江戸時代から昭和にかけての古文書群。八坂大神は1869年の改名前は相馬天王であり、最も古い史料を含む「天王当番帳」には1681年から1943年まで、263年におよぶ祭礼当番が書き継がれ、神社の祭礼の変遷を知る上で重要とされる。また、1848年の「若者取締議定帳」などでは、江戸時代の若者仲間から青年会、青年団へと改編される過程が分かる。
慈恩寺詩板
室町時代に京都などの18人の禅僧が慈恩寺を讃えて詩を詠み、板に刻んだものを江戸時代に転写したものと推定される。詩などから慈恩寺は、相模湾や富士山を望む場所にあり、七層の塔をもつ禅宗寺院と分かる。同寺は、現在の大町の辺りにあったとされるが、戦国時代には廃絶したとみられる。
阿弥陀如来立像右脇侍立像
1974年、市指定文化財に指定された蓮乗院(材木座)の「木造阿弥陀如来立像」の両脇侍のうち右脇侍立像である勢至菩薩像。両脇侍像は後の作とみなされ、指定されていなかったが、右脇侍像は細部の形状を阿弥陀如来像と比較したところ、同時期に制作されたと考えられ、追加指定となった。左脇侍像は形状の特徴が異なる部分があり、指定されなかった。
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