JR東海道線の藤沢―大船間で設置に向け協議が進んでいた「村岡新駅(仮称)」について、神奈川県と鎌倉市、藤沢市、JR東日本は2月8日、設置に関する覚書を締結した。事業費負担などを含め4者が合意したもので、開業は2032年頃を見込む。
「合意は3県市のこれまでの取り組みが結実したもの。村岡、深沢地区のまちづくり実現の大きな一歩になる」
同日、オンラインで行われた締結式で黒岩祐治県知事は、新駅の意義についてこう強調した。
設置が予定されているのは、藤沢駅から約2Km、大船駅から約2・6Kmの藤沢市宮前付近。かつて旧国鉄湘南貨物駅があった場所だ。
新駅構想そのものは、30年以上前からあったが、自治体間の費用負担などを巡って足並みが揃わなかった経緯がある。
しかし、2018年12月に3県市が新駅を誘致することで基本合意。翌19年1月に3首長がJR東日本の深澤祐二社長を訪問し、同社が一部費用を負担する「戦略的新駅」での設置を正式に要望していた。
その後、同社が概略設計を進めてきたが、このほど事業費が約150億円と算出され、想定していた160億円を下回ったことから、合意に達したとしている。
費用負担の割合は、県が30%、鎌倉と藤沢両市がそれぞれ27・5%、JRが15%。鎌倉市の負担は、41億2500万円程度になる計算だ。
県などによると、今後21年度内に4者が基本協定を締結し、22年度以降、1〜2年かけて詳細設計を実施。工事期間は約8年を見込んでおり、開業時期についてJRから「32年頃を想定している」との発言があった。
新駅周辺では、深沢地区(31・1ha)と藤沢市の村岡地区(8・6ha)を道路や橋で繋ぎ、一体的なまちづくりを進める予定となっている。
会見で松尾崇市長は「新しいまちづくりは、鎌倉にとって鎌倉駅周辺、大船駅周辺と並ぶ第3のまちづくり拠点の形成にむけた重要な取り組みになる。新駅はその新しいまちのポテンシャルを引き上げるものだ」と期待を示した。
翌9日に行われた市議会全員協議会では「議会への報告前に記者発表がされ、二元代表制による意思決定のプロセスを無視している」「コロナ禍による大幅な税収減で多くの事業が見直しを迫られるなか、市民の理解を得られると思えない」などの意見が出された。
それに対して松尾市長は、まちづくりが進めば1年で約16億円の税収増が見込まれることなどを挙げ「市全体の未来にとって必要な投資だ」とした。
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