本堂(大殿)の保存修理工事が進む浄土宗大本山光明寺(柴田哲彦法主)でこのほど、本尊が安置されている厨子の中から色鮮やかな天女の壁画が見つかった。時期など詳細は今後の解析を待つことになるが「制作当時の世界観が伝わる資料では」と関係者は話す。
鎌倉時代の1243年創立と伝わる同寺。なかでも江戸時代の1698年に建立された本堂は、延床面積931平方メートル(約282坪)、柱の内側の面積660平方メートル(約200坪)で、鎌倉市内でも最大の規模を誇る。
これまで江戸時代に4回、昭和に2回の修理が行われてきたが、2019年11月から、各部材を屋根から順番に外して骨組みだけにする大規模な修理が行われている。
この作業の過程で本尊の阿弥陀如来像が祀られていた厨子上部の壁を剥がすと中にも壁があり、一番外側(3層目)に天女の壁画が現れた。
描かれているのはヒノキ板で大きさは横150cm、縦90cmほど。左右で一対となっており、何度も書き直されてきたことも確認できたという。
厨子には以前、開山の良忠上人が祀られていたが、関東大震災時の被害で、現在の本尊阿弥陀如来、脇侍の観音・勢至菩薩の阿弥陀三尊像が安置されるようになった。
改修直前の厨子内部は金箔が張られ、荘厳な浄土を表現していたが、壁画が見つかった層は赤色に塗られていた。「いつの時代か分からないが、制作された当時は赤色で表現する世界観があったのでは」と同寺執事の香川法雄さんは話す。
本堂修理29年まで
本堂の修理工事は、29年に完成予定。工事を指揮する(公財)文化財建造物保存技術協会の鈴木雅文所長は「部材に残った跡や使用した道具などで時代が大まかに分かるが本堂も様々な修繕、改修の跡があり時代によって内部構造はかなり変化したようだ」と話す。
同寺では、こうした検証結果を踏まえて修理の方針を決定する。発見された壁画も現在は取り外して保管しており、展示なども今後決めるとしている。香川さんは「仏様の世界を、その時代にあった伝え方で多くの人に届けられる本堂にしたい」と話している。
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