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公開日:2023.01.20

「安心して暮らせる未来を」
富士塚小で平和教育

  • 朗読劇を披露した3年生=16日・富士塚小体育館

  • 平和教育を進める川坂教諭

 富士塚小学校で、平和教育が進んでいる。太平洋戦争により1945年に原爆が投下された広島をふるさとに持つ、川坂愛教諭がその中心だ。今年度は川坂教諭がクラスを受け持つ3年生の総合学習のテーマに据え、オリジナル朗読劇を制作。3年生の児童たちは他学年や保護者に向け、劇を通じて平和の大切さを訴えている。

 7年前に川坂教諭が赴任したのを機に、富士塚小では児童たちが千羽鶴を作り、原爆投下の8月6日に合わせて広島へ贈っている。その折り鶴は、原爆ドームや原爆の子の像がある平和記念公園に飾られてきた。

 今年度は平和教育をさらに加速。川坂教諭は、原爆の子の像のモデルとなった佐々木禎子さんの同級生で、像建立に尽力した広島の川野登美子さんに講師を依頼。3年生は10月に川野さんからオンライン講義を受け、平和について考えを巡らせた。その上で、「平和の大切さを訴えるにはどうすればいい?」と川坂教諭が投げかけると、「劇を作ろう」と声があがり、2クラスある3年生は秋以降の総合学習の時間を使って朗読劇の準備を進めてきた。

 劇の題材にしたのは、講師を務めた川野さん著の『原爆の子の像 六年竹組の仲間たち』。友人の禎子さんは2歳の時に被爆し、小学6年生で白血病と診断され闘病生活に。中学1年生でこの世を去った。川野さんが接した友の苦しみや、亡くなった後に同級生らで慰霊碑(原爆の子の像)を作ろうと全国に寄付を呼びかけ実現したエピソードなどが綴られている。

 児童たちは朗読劇の練習に加え、原爆の子の像などの大道具も制作。12月には保護者へ朗読劇を発表し、1月16日からは他学年の児童に向けて順次披露している。

児童「平和を考え直したい」

 3年生40人は、当時の様子を再現するためモンペ(作業着)を履いてステージへ。舞台の児童たちは、当時の状況や広島の人々を想像し、イントネーションも工夫しながら語りかける。約40分の発表を終え佐藤成君は「広島の人がしゃべっているようにした」と言い、秋山美空さんと若山照君は「平和を訴えるため、みんなに伝わるように頑張った」と話した。鑑賞した6年生は「自分たちと同じくらいの年齢で亡くなったのは悲しい。戦争はダメ」、「3年生が一生懸命伝えてくれてじんとした。平和について考え直したい」。

 日本が終戦77年を迎えた今でも、ウクライナではロシアによる侵攻が続く。川坂教諭は、「安心して暮らせる未来が続くよう、子どもたちにはこの先も平和を願っていってほしい」と述べた。

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