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鎌倉 社会

公開日:2023.05.26

どうする免許返納後
公共交通以外の「足」は…

  • 二階堂・浄明寺での実証実験の様子(鎌倉市提供)

 今回のテーマは「免許返納後の移動手段」。1月に本紙で掲載した「鎌倉市『免許返納』県下3番目」の記事を見て、80代の読者から「返納したい気持ちはあるが、車がないと不便で…」と編集室に連絡があった。実際に返納した人の生活や、各地の取り組みを探った。

 「外出時はバスを使う」。そう話すのは、6年前に免許を返納した今泉台在住の男性(80)。それまで無事故だったが、「雨の日や夜は見えづらくなった。迷惑はかけたくない」と決断。幸いにも、自宅から徒歩3分の場所にバス停があり、駅方面へのバスは1時間に5本ほど。重いものを買った際は、店の配達サービスも活用する。

 岡本在住の男性(90)は動体視力の衰えを感じ、更新を迎えた85歳の時に返納。それ以後、「健康のために近くなら徒歩や電動自転車で移動している」。以前は車で訪れていた箱根にも、大船駅まで約20分歩き、電車を使うようになった。

 鎌倉市には、バス代等に使える年間2千円分の補助制度(返納後2年)もあるが、駅やバス停が遠く不便な地域もある。

 市では、バス停と江ノ島電鉄・湘南モノレールの駅から300m以遠、JRの駅から750m以遠、バスの運行本数が1日34本未満の市街化区域を「交通不便地域」として抽出。バス会社へのミニバス運行の要望や、地域での取り組みなどで解消を図ってきた。

交通不便地域は20年で3分の1に

 交通不便地域は、この20年で6地区から2地区に減少。不便地域だった「佐助・常盤」や「笛田」、「腰越・津」、「城廻」はミニバスなどの運行が始まったことで解消した。

 一方、「大町」と「二階堂・浄明寺」は依然対策を必要とし、それぞれ物理面、費用面での課題があり、難航している。

 道が狭あいな大町は、ミニバスを運行したとしても方向転換などのために誘導員2人の配置が必要で、人件費の高さや道路拡幅の難しさから、対処できていないという。

 二階堂・浄明寺では、21年1月に新交通システムの実証実験を実施。電話やアプリで予約し、低速電気自動車などで利用者を鎌倉駅行きの「大塔宮」バス停まで無料で送迎した。24日間で延べ420人が利用。利用者の6割が70代以上だった。

 実験の結果、今後も利用したい人は多かったが、有償化した場合(200〜300円程度)の需要を住民に聞き取ったところ、「距離と料金が見合わない」「バス代と合わせると高い」などの声があり、再検討中だ。

 この実証実験に限らず、採算面は地域交通の大きな課題だ。ミニバスの運行は始まったものの、利用が少なく減便となった地域もある。他市の事例では、地域の団体や法人が運営する「乗り合いタクシー」もあるが、「大抵が利用料だけでは赤字。自治体の補助ありきのところが多い」(市交通政策担当)。

自治会などが独自の受け皿

 社会福祉法人や自治会が、移動手段の受け皿を作っている地域もある。

 玉縄では、高齢者施設の鎌倉プライエムきしろが09年から住民の外出支援を目的に無料送迎。4年前には市と協定を結び、「地域貢献送迎バスモデル事業」としてルートを拡大。利用者は延べ7万5千人を超えた。

 梶原山町内会では、坂の下にあるベンチで手旗を持つことを合図に、車で移動中の住民が希望者を坂の上まで乗せる仕組みを導入。大平山丸山町内会でも、住民が助け合うアプリを開発した。

 「需要や生活の実情に合うだけでなく、持続可能な新交通システムの導入を目指す必要がある」と市担当。今年度は、25年前に策定した交通マスタープラン見直しのため、調査を進めていく。

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