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公開日:2023.06.23

アルぺなんみんセンター・有川事務局長
「日本が取り残される」
改正入管法成立 現場は?

  • インタビューに応じる有川事務局長=16日

 難民認定の申請中にも外国人を送還できる入管難民法改正案が、6月9日、参議院本会議で成立した。政府は、難民と認定されなかった後に退去を拒む外国人(2022年12月末時点の速報値4233人)がいることを現行法の課題とし、外国人の出入国や在留の公正な管理に向け法改正に踏み切った。一方、今回の改正入管法成立により、難民認定の申請中でも3回目の申請以降は送還が可能となり、迫害などで命の危険にさらされる可能性もある。施行は16日の公布から1年以内。鎌倉市十二所で難民を受け入れる「NPO法人アルぺなんみんセンター」の有川憲治事務局長(61)に、現場の声を聞いた。

 鎌倉のアルぺなんみんセンター=写真=は、国内最大級のシェルターとして2020年4月に開設。難民認定申請中の外国人を受け入れ、3年間で20カ国52人に住居を提供。現在も、アジアやアフリカから日本へ避難してきた2歳〜50代の11人が暮らしている。

 *   *   *

 --改正入管法が成立しました。

 「非常に残念です。今回の法改正は、世界的な難民の保護と逆行することになります。難民を迫害の恐れのある国に送還してはならないとの国際原則に反し、強制送還が可能になりました。世界から、日本の人権感覚が問われています」

 --現在受け入れている人々の反応は?

 「申請中の人ばかりなので、不安感が広がりました。申請回数を重ねている人もおり、『自分はどうなってしまうんだろう』と。そもそも、難民認定申請者は、法的にも、経済的にも不安定な状況に置かれています」

 --有川事務局長は四半世紀にわたって難民支援に携わってきました。日本の支援についてどのように感じていますか?

 「日本の難民保護基準は、欧米の基準から大きくかけ離れています。入国直後の難民認定申請で、保護すべき難民を保護できていません。日本で保護されず、迫害を恐れ母国にも帰国できない方々の課題は、今回の法改正で解決されません」

 --出入国在留管理庁の「2022年における難民認定者数等について」によると、昨年は3772人が難民申請を行い、認定されたのは202人。一方で、一次審査と審査請求を合わせ1万143人が不認定となりました。

 「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、立証が難しい難民の状況を考慮し、疑わしきは申請者の利益になる『灰色の利益』を与えることが必要だとしています。しかし、日本では申請者自身がしっかりと証拠を出さないといけないため、立証のハードルが高いのです」

 --今後求めたいことは?

 「難民受け入れは、その国の人権感覚を測るバロメーターだと考えます。その点から言うと、日本の人権に対する考え方が、世界のトレンドから取り残されていると感じます。日本は、今年12月に開催される国際会議『第2回グローバル難民フォーラム』の共同議長国です。世界的な課題の難民問題、日本に逃れてきた難民に対して真摯に向き合い、国際的な役割を果たしてほしいと願っています」

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