鎌倉市役所移転計画について松尾崇市長は2日の定例会見で、市議会6月定例会へ位置条例改正案を提出しない意向を示した。同改正案は2022年に否決されて以来、再提出が見送られてきた。定例会見で松尾市長は「可決できると判断した時が提出のタイミング。まだその段階ではない」と話した。
市役所については、老朽化による耐震の問題や津波、電源の課題などで災害時に庁舎が使えなくなるリスクがあることから、松尾市長が移転の必要性を訴えてきた。
移転のために市議会での可決が必要となる「鎌倉市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例」は、出席議員の3分の2以上の同意が必要となる。22年の12月議会で初めて提出されたが、賛成16、反対10の2票不足で否決されて以来、再提出見送りが続いている。
会見で松尾市長は可決の見込みが立たないことについて、「責任を重く感じており、(10月末の)任期中に決着をつける覚悟はある」とし、今後について「態度を明確にしていない議員もいる。意見交換などを行うなかで判断したい」と語った。
6月定例会初日の11日時点では、同改正案は提出されていない。会見で松尾市長は会期中の追加提案や、臨時会など「全ての可能性は否定しない」とも述べている。
一方で、4月の市議会議員選挙では、移転反対派が議席を伸ばした。議長に就任した中澤克之氏は当紙取材に対し「市長選挙直前の9月定例会に提出して位置条例を政争の具にすることは許されない」として6月定例会での提出を求めてきた。市長が9月定例会で提出した場合は「議長権限で議会へ上程せず審議しない」構えを見せている。
市役所の移転予定地である深沢地区周辺では、23年10月に国土交通省が事業計画を認可。新庁舎や公共的広場、商業施設、都市型住宅などを整備し自然や環境に配慮したまちづくりを目指している。移転計画が膠着(こうちゃく)状態にあることについて賛成派議員からは「状況が動かないことが問題。やるならやる、やらないならやらないで、市長は議案を提出すべきでは」との声もあがる。
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