鎌倉 文化
公開日:2025.11.21
ぶらり ご近所商店街 Vol.1
時代とともに形を変えて
上河原商工振興会 高木賢一さん
材木座海岸からの潮風が香り、閑静な住宅街のなかにある上河原商工振興会。「昭和30年代に商工振興会が発足した当時は、この通りにずらりと店が並んでいたんだ。一番活気があったね」と、高木賢一会長は振り返る。暮らしに必要なものが揃うこの通りが、まさに地域の中心だった。
かつては50店以上が加盟し、季節にあわせた売り出しやバーベキュー大会などを開催していたが、近年は15店まで減少した。それでも、五所神社のお祭りでは独自の縁日と神輿で祭典を盛りあげる。「子どもたちを招いて楽しませてあげるんだ」と優しく笑う。神輿は商工振興会が独自に作ったもの。提灯には太く力強い上河原の文字。「立派だろう」と写真に目を細める。
実家の「魚賢」を継いだ高木会長は、このまちの移り変わりを見守り続けてきた。
惜しまれつつ暖簾を下ろす店がある一方、観光客向けにこだわりの商品を提供する飲食店が開店するなど、明るい兆しもある。
鎌倉駅の繁華街から離れた場所だけに、地元住民しか通らないと思われていたが、近年は国内外の観光客が頻繁に訪れるようになった。「昔ながらの魚屋が珍しいのか、店先で魚をさばいていたら『写真を撮って良いか』なんて言われてね」と苦笑する。
木製の「おかもち」や吊り下げ型の「はかり」なども旅行者には珍しいようだ。「お店の人とお客さんが、時に冗談を言い合えるのが商店街の良さ」と高木会長。馴染みのお客さんには、必要とあれば刺身半人前でも届ける。時代は変わっても、地域を愛する商人の優しさは変わらない。
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